・ 別の一例ですが、埼玉県のある家庭で、母親がどうしようもなく疲れて涙が出る。花粉症もひどく、激しいアレルギーがあり、頭痛と疲労で動けなくなり、家事をまったくできなくなりました。
父親はふだん勤めているので、軽いアレルギーと頭痛程度でした。原因を探ってみると、新しい家を建てて入居した後、お嬢さんが就寝時、額をゴキブリかムカデみたいな虫が横ぎった。
そのことで極端な虫嫌いになり、自分で部屋にピレスロイドや有機リン系の殺虫剤を撒いたのです。
外は田園地帯で有機リンの殺虫剤も撒かれていま した。
家の中の測定をすると、極めて高い量のピレスロイドと有機リン剤が出て、はじめて原因が分かったのです。
シックハウスといってもこのように、測定をしなければ分からない列もあるのです。
原因はいろいろ考えられます。人間はつねると、痛みが伝わり、頭で痛みを感じます。この神経は知覚神経です。
ところが、ホルマリンなどの薬品に手を触れる。
また、つや布巾をかけて床を拭く。床からホルムアルデヒドが出るといった場合に、神経が上に伝わらずに別の方(末梢)に伝わる場合があります。
そうするとこの神経からタキシニンなどいろいろな物質が出る(軸索反射)。
そして、アレルギーを誘発する物質に関係し、アイジーイー抗体を刺激してくっついて、アレルギー症状を起こすのです。
アレルギーを化学物質から解明していこうとするこのような研究が、ホルムアルデヒド、トルエンなど様々な化学物質で現在は盛んに研究が行われています。
それまで基準値がなかったので、3年前、厚生省のガイドラインの基準をつくらなけれなならないと考えました。
国の国民生活センターに届けられた症状をまとめますと、チカチカするなどの目の障害、頭痛、喉の痛み、皮膚の刺激、呼吸器の障害など様々な症状がありました。
病院に通院中のものも68件あり、シックハウス症候群に含まれるものでした。
厚生省でも平成9年から12年度にかけて、最大1000μg/m3を超える家がある化学物質はどんなものがあるか、4000件くらいの調査が行われました。
多い順にホルムアルデヒド、トルエン、パラジクロロベンゼン、トリクロロエチレン、キシレン。
桁は違いますが、白アリ駆除剤のクロルピリフォスなども挙がりました。
これに関して基準値やガイドラインをつくろうという動きが一昨年から活発化しています。
安全対策室でガイドラインをつくり、ご存じのようにホルムアルデヒドは80ppb、トルエンは70ppbとなり、今後、ほかの化学物質の基準値も決められます。
有機リン剤のクロルピリフォスは白アリ駆除に使われていますが、アメリカでは、咋年7月、完壁に撤去されることになりました。
子供に対し神経毒があり、アレルギーなど化学物質の過敏反応を起こすからです。
日本でも低い値に設定されていますが、私たちの強い希望で一ケタ下げて小児の値も設定されたのです。