花粉症11 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・寄生虫感染の減少
寄生虫感染症との関連にも注目されている。
IgEは本来、ぎょう虫や回虫などの寄生虫が寄生したときに産生され、これらを排除するために働くものだとされる。
1960年代以降の日本では衛生環境の改善によって寄生虫感染症が激減したが、このことによって「攻撃する相手」を失った IgE が、寄生虫の代わりに花粉を攻撃するようになったというものである。
寄生虫に感染していると大量の IgE が産生され、それがびっしりと肥満細胞を覆うため、のちに花粉に対する IgE が産生されても肥満細胞に結合することができないという説明もなされる。
寄生虫感染の多い東南アジアでアレルギーが少ないことなどが根拠のひとつとされる。
また、ニホンザルにおける調査で、花粉症有病率が長年にわたり一定であることもこの説を支持するという。
すなわち、寄生虫感染率も長年にわたり一定であるためであるという。

しかし、大きな話題となったこの仮説はその論拠が薄弱であり、ヒトでの疫学調査では相反する結果が得られたり、保存されている過去の血液の抗体検査をしても理論どおりの結果が出ない。
寄生虫感染がほとんどなくなった現在でも、アレルギーがなお増加していることは説明がつかない。
東南アジアにおいても、アレルギーは増加しているという事実も非支持的である。
そのため、現在では市民レベルの噂話にのぼる程度のものになっている。
この説を一般向け書籍を出版することによって大きく広めようとしたのは、著者自身の行う寄生虫学をもっとポピュラーにしようとの思惑があったのだと揶揄する人もいる。
この説そのものは、社会的に話題になる以前より他の研究者によって提唱されていたものである。

ただし、寄生虫感染はIgE産生を亢進することは確からしく、この理論が完全に否定されたわけでもない。
その理由として、あらかじめ寄生虫感染を起こしていると花粉症発症は抑制されるが、花粉症になってから寄生虫感染を起こしても症状は抑制されないという機序を考える場合もある。
上記の衛生仮説に含むこともある。

なお、こうした寄生虫のエキスなどを投与して症状を改善しようという試みは、たしかに免疫のバランスが変化するものの、発ガン率が高まるおそれがあるなどの副作用の問題が生じたといい、断念されているようである。
詳細は不明である。