重金属汚染と毛髪ミネラル2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・環境中の有害金属の遍在―人体への慢性的な蓄積
 ある金属(ミネラル)が毒性を持っているということは、ダイオキシンなどの化学物質も同様であるが、多くの場合、これらの金属は生命進化の過程で体内の構成成分や代謝反応に使われなかったため、人体内にそれらの金属への解毒機能が備わっていないからである。

18世紀の産業革命以降、人間の活動によって地殻中にあったさまざまな金属が採掘され利用されていく中でこうした金属も環境中に放出されてきた。

特に過去数十年は活発な資源開発と産業活動によって環境中の有害ミネラルは急激に増加しつつある。
 たとえば、1500年前のカナリア諸島の人々と現代人の骨に含まれるカドミウムと鉛の濃度を比較すると、カドミウムは約6倍、鉛は約7.5倍にもなる。

その結果、私たちの体内にはさまざまな有害金属が微量ながら慢性的に蓄積していて、さまざまな健康被害が出ている。

こうした健康被害は、水銀によるヒアルロン酸の合成阻害による肌荒れやしわなど、ミネラルの種類や濃度そして遺伝的背景によって多様な症状として顕在化してきている。

しかも、現在、100人に1人の割合で障害を持った子どもが生まれている。


有害金属による細胞機能のダメージ―カルシウムポンプ
 生命を考えるには先ず生命の単位である細胞レベルで考えることが重要であり、有害金属による子どもたちの異常や健康被害を考える時も、当然、細胞レベルで考えることが出発点であると大森先生は説く。
 生体の60兆個の細胞を円滑に働かせるための信号伝達には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどさまざまなミネラルのイオンが使われている。

一般にイオンの濃度の低いところから高いところへイオンが運搬される場合(濃度の高低に逆らう場合)エネルギーを必要とし、その運搬の働きをポンプという。

ポンプの働きは細胞膜の特殊なタンパク質によっておこなわれている。
 最も広範に使われるのがカルシウムイオンで、カルシウムポンプによってカルシウムイオンの運搬がおこなわれる。

その一つである筋肉細胞の場合、筋収縮はカルシウムイオン(以後、単にカルシウムと表記する)によって制御されている。

たとえば筋肉では、筋小胞体と呼ばれる組織がありカルシウム貯蔵庫になっている。

そこからカルシウムが筋肉細胞中に放出されると収縮が起り、次にカルシウムポンプを使って筋肉細胞からカルシウムが排出されると弛緩が起る。
 鉛や水銀が身体の細胞の働きを阻害するメカニズムは次のように説明できる。

体内に取り込まれた重金属、たとえば水銀は、このカルシウムポンプを構成するタンパク質、特にタンパク質の成分であるアミノ酸のなかでイオウを含むアミノ酸(SH基をもつ)に結合し、カルシウムポンプの働きを阻害する。

また、鉛は、このポンプを働かせるために必要な、体内のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)に結合し、カルシウムポンプにエネルギーを供給できなくさせることによって、やはりこのポンプが働かなくなる。
 つまり鉛や水銀が細胞膜を通過するカルシウムの運搬を阻害することによって、細胞内にカルシウムが満杯になり、細胞機能の低下が起こり、さまざまな異常が起る。

実際に母親の毛髪の水銀濃度が高いと乳児のカルシウムポンプの活性が低下することが明らかにされている。