・●水銀の用途
水銀は表に示すように、歯科アマルガムや各種金属とのアマルガム利用や、化学反応の際の触媒や農薬をはじめ無機薬品、気圧計や温度計、体温計などの計測機器、電池材料などに主に用いられてきました。
しかし、現在では蛍光灯や電気スイッチなど一部の利用にとどまっています。
その水銀需要は、表に示すとおり、1990年代まで水銀の主たる需要先であった無機薬品(1990年需要量:17,361kg)向け及びアマルガム(1990年需要:2,523kg)向けの需要が、記環境規制の強化により、稲作の特効薬として使われてきた水銀農薬が製造禁止、苛性ソーダ用電極、塩素電解用電極、塩化ビニール用触媒としての水銀が製造転換に追いやられこととなり、現状での需要は「0」となっています。
国内の主要需要分野である電気機器及び電池材料の需要量については、ここ数年総量ベースで2,300kg程度と大きな変化はなく、電気機器向け需要が増加傾向にあるのに対し、電池材料向け需要は減少傾向を示しています。
また2001年まで国内需要の20~30%を占めていた計量器向け需要は、年々減少を続け2006年の需要量は「0」となりました。
●水銀の毒性
純粋な金属水銀は、他の重金属と同様に、蓄積されることによって毒性を発揮します。
水銀の化合物は単体の水銀よりもはるかに高い毒性を持つことが知られ、水銀を含む有機化合物では特に顕著です。例えば、ジメチル水銀は数分の1ミリリットルの量でも死に至る神経毒があります。
水銀は中枢神経・内分泌器・腎臓などの器官に障害をもたらし、口腔・歯茎・歯にも損傷を与えます。高濃度の、もしくは低濃度であっても長時間水銀の蒸気にさらされると、脳に障害を受け、最終的には死に至るといわれています。水銀およびその化合物は、特に胎児や幼児に対して有毒です。
妊娠した女性が水銀に被曝した場合、発生障害を持った子供が生まれることがあるとされています。