・第二部「家庭用品プロジェクトチーム」からの報告
●普通の市民を対象に、リスク削減の方法や法制度を紹介
一井暁子(国民会議常任幹事)
ブックレットは、化学物質問題に関心を持つ普通の市民を対象に制作しました。化学物質は難しくてよく分からない、という声に応え、用語の解説や「危険性」の具体的記述などに関し、工夫を凝らしたつもりです。
また、家庭用品は、使用者(加害者)である私たち自身が被害者として暴露を受けるという消費財です。
そんなことを考える問題提起もしたいと思いました。
取り上げた商品は、シェアが高く、よく宣伝されているものです。私たちが、多くの有害物質に囲まれているという点に気づいてもらいたかったからです。
リスク削減の方法や代替案を示しましたが、同時に内外の法制度を紹介することで、個人レベルだけでは解決できない問題への理解や取り組みを促すことも意図しました。
今後は、本の内容を踏まえた提言を行い、国民会議らしさをアピールしたいと考えています。
●石けんに替えると、生活に安心感が出てくる
田中輝子(日本消費者連盟・洗剤部会会員)
何故、人々はいまだに合成洗剤を使っているのでしょうか?色々な理由が考えられます。ゴールデンタイムでのテレビCMの洪水。
周りがみんな使っているから。新聞の景品でもらうから(ある調査では、3割の人は自分で買っていないことが分かりました)。
洗剤で汚れた川は暗渠になり、被害が見えにくくなったから、などなど。
ここで、石けんと合成洗剤の違いを知っていただくための実験を2つお見せします。
一つは、洗濯用合成洗剤に含まれる蛍光増白剤の存在を知るためのものです。2つのビーカーに粉石けんと合成洗剤を溶かし、きなりの布を入れて3分まわし、すすいで紫外線ランプで照らすと、合成洗剤で洗った布は青白く光ります。
合成洗剤で洗うと白くなると思っていますが、本当は化学物質で青白く染めているだけなのです。
一方、粉石けんの方は、この通り、青白く光ってはいません。
もう一つの実験は、日数を要するので、写真で見ていただくだけですが、かいわれ大根の発芽テストです。この通り、石けんの溶液にまいたかいわれ大根は、根が勢いよく伸びていますが、合成洗剤の方は葉も根もほとんど伸びていません。
石けんに替えると多用途に使えるので、洗剤の種類もプラスチック容器の数も減って経済的です。人体被害や環境への加害者にもならずにすみ、生活に安心感が出てきます。