低周波音が問題とされた公害紛争事件7 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ウ.公害等調整委員会の国内外医学文献等調査(平成14年3月)
当委員会では、今般「低周波音の健康影響に係る文献評価調査」を実施し、低周波音の健康影響に関する国内外の医学文献等を検索し、その評価を取りまとめた上、これを本件の証拠とするという徹底した職権証拠調べを行った。

具体的には、国際的に評価された医学文献のみが収録されている国内外のデータベース(MEDLINE、医学中央雑誌等)及び英国の低周波音関係専門雑誌から、低周波音による健康影響に関する203文献を抽出し、その中からレビュー対象採用基準(昭和59年以降に発表された英語又は日本語の文献のうち、低周波音が主たる暴露であり、暴露評価及び健康影響の評価がされているもの)に合致した40文献の内容について、公衆衛生学の専門家が「根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine、EBM)」の手法を参考にレビューした。

文献レビューの結果として、これまでの知見は、動物実験において低周波音の高レベル暴露による健康影響の可能性を示唆するものがあるものの、感覚閾値或いは個々人における音を感知する閾値を下回る低周波音圧レベルによる健康影響の有無に関する確かな調査研究は、疫学研究においても動物実験を含む実験研究においても未だ行われていないと評価された。

したがって、感覚閾値或いは個々人の閾値を下回る音圧レベルによる健康影響を認めるに足りる知見は、未だ存在しないというほかなく、今後、新しい手法や洗練された研究デザインによる研究方法により多くの科学的根拠が提示されることが期待されるというのが現状である。