・4.2.2 NOx 除去装置
ディーゼル機関は、常に酸素過剰の状態(希薄運転条件)で運転されるので、NOx を排気系で除去するシステムとして有望視されているのは、①NOx 吸蔵・還元触媒、②尿素選択還元触媒(尿素SCR)の2つである。
NOx 吸蔵・還元触媒は、希薄運転条件では排気中のNOx を触媒表面に吸蔵し、適宜瞬間的に燃料を濃くする(リッチスパイク)ことにより、吸蔵されたNOx が還元され、窒素として排出される。
本方式では80%以上の浄化効率があるが、ガソリン機関よりもはるかに薄い混合気条件で使用されるディーゼル機関ではリッチスパイクによる燃料消費へのペナルティが数%あり、また、燃料中の硫黄は燃焼によりサルフェートを生成し、触媒表面に蓄積されることにより徐々にNOx 吸蔵性能を低下させる。したがって連続再生式DPF 同様、軽油中硫黄分の低下は必須の条件である。
②の尿素SCR(図7)は、尿素水溶液を還元剤とし、排気中に噴射して水と反応させ、アンモニアを生成することにより還元反応を行う触媒システムである。本システムの浄化効率は80%以上あり、燃費のペナルティがなく、燃料中硫黄分の影響をあまり受けないが、尿素タンクやその噴射制御システムが必要なこと、NOx量にバランスするアンモニア量を制御することが難しく、余剰のアンモニアが排出される(アンモニアスリップ)可能性がある等の問題がある。
尿素インフラそのものも課題である。
図7 図をクリックして拡大してご覧下さい