・14 ちょうせい第62号(H22.8)
講演Ⅱ 低周波音問題の現状とその実際例
(前)工学院大学工学部教授 塩田 正純
今日は「低周波音問題の現状とその実際例」ということで、お話させていただきます。
まず、基礎的な話をしまして、次に実際的な例について話をしていきたいと思います。
1 低周波音の基礎知識
低周波音の定義は、q聞こえる音(可聴音)と聞こえないとされている音(非可聴音)の両方を含み、周波数範囲として、我が国は、1ヘルツから80ヘルツとしている、w聞こえないとされている音の周波数範囲は、1ヘルツから20ヘルツとし、超低周波音としている、e環境省「低周波音の測定方法に関するマニュアル」では、1/3オクターブバンド中心周波数注1)1~80ヘルツの音波を低周波音としている、r低周波音のうち、1/3オクターブバンド中心周波数1~20ヘルツの音波を超低周波音としている、とされております。
これについては、実は明確な定義があるわけではなくて、各国で非常に異なっております。
とりあえず環境省は、eについて、低周波音であり、rについて、超低周波音であるというように言っているわけです。
海外では200ヘルツまで低周波音と言っているところもあります。
英語で言うと、かなり複雑でして、low frequencynoise とか、low frequency soundとか、中にはlow frequency vibrationとか、超低周波音ですとインフラサウンドとか、いろんな用語があって非常に苦慮しているわけですが、とりあえず我が国ではこのように一応定義をしております。
低周波音の特徴ですが、距離減衰というのは一般の騒音と変わらないということと、それから、音の性質からいうと、一般の騒音と比べて、非常に波長が長いので距離減衰以外の超過減衰と言われている「空気による吸収とか地表面の反射」の影響は受けにくいため、非常に遠くまで音が伝搬するのではないかということであります。
が、物理的な現象からいうと、そういうことになると思います。