4-2 簡易測定による発生源調査
4-2-1 調査目的
学校環境衛生の基準に定められた室内空気中トルエン濃度が基準値を超えていた結果を受け、原因調査の第一段階として、簡易測定法であるガス検知管を用いた材料の測定を行った。
小学校に使われている材料の化学物質濃度を測定し、室内空気質汚染の主原因であるトルエンを含む芳香族炭化水素類やホルムアルデヒド、アルデヒド類の発生原因を推定することを目的とした。
4-2-2 測定概要
(1) 測定対象
元加賀小学校において使用された材料のうち、化学物質の発生が多いと考えられる塗装材、接着剤、シーリング材を測定対象とした。
接着剤は、開封直後のものを液状のまま測定した。
塗装材については、開封直後のものと現場にて使用された調合済みのものを測定した。シーリング材については、開封直後のものの他に、施工済みの現場から採取したものについても測定した。
測定対象とした材料を表4-3~5 に示す。
図をクリックして拡大してご覧下さい表4-3~5
・2) 調査方法
トルエン及び芳香族炭化水素類、ホルムアルデヒド及びアルデヒド類を対象化学物質とし、ガス検知管を用いた短時間および長時間の簡易測定を行った。材料が入った容器をわずかに開封し、雰囲気空気濃度を測定した。
トルエン及び芳香族炭化水素類に関しては、短時間測定の結果、高濃度であったもののうち、普通教室で使用されている材料についてのみ長時間測定を行った。
ホルムアルデヒド及びアルデヒド類については、現場施工塗装材のみ測定を行った。
なお、トルエン用検知管については他の芳香族炭化水素類が共存する場合、反応し影響を受け、ホルムアルデヒド用検知管については他のアルデヒド類が共存する場合、反応し影響を受けることがわかっている。
トルエン用検知管で測定可能な他の芳香族炭化水素類とその換算係数を表4-6, 7 に、ホルムアルデヒド用検知管で測定可能な他のアルデヒド類とその換算係数を表4-8 に示す。
ホルムアルデヒド用検知管の短時間測定では、換算係数を用いて他の物質濃度を測定することはできないが、特にアセトアルデヒドが反応するこ
とがわかっている。
(2-1) 短時間測定
トルエン及び芳香族炭化水素類については、気体採取器 GV-100S を用いて、1 回100mL の空気を吸引時間1.5 分にて検知管内に引き、1~4 回(基準2 回)繰り返した。ホルムアルデヒドについては、1 回100mL の空気を吸引時間1.5 分にて検知管内に引き、1~5 回(基準5 回)繰り返し、測定した。
測定条件を表4-9 に、気体採取器を図4-1 に示す。
(2-2) 長時間測定
自動ガス採取装置 GSP-200 を用い、空気を30 分間吸引して測定を行った。トルエン及び芳香族炭化水素類については、前処理管と検知管をカバーゴムにて繋ぎ吸引した。
測定条件を表4-10 に、自動ガス採取装置を図4-2 に示す。