・●新たな試み
次世代環境健康学プロジェクトは、大学の機関とは別に、2004年7月にNPO法人次世代環境健康学センターを設立し、社会へのはたらきかけのための取り組みを行っています。
講演では、最近の活動として2つの取り組みが紹介されました。
そのひとつは、環境健康学トランスレーターの養成・認定です。
環境化学物質問題は専門性が高く、一般の人には、リスクも対処法もなかなかわかりません。
次世代環境健康学センターは、環境健康学の分野で、一般の人に環境化学物質問題を分かりやすく伝え、研究者との間の橋渡しとなるような人材が必要と考え、今年秋から環境健康学トランスレーターの認定を始めました。
トランスレーターになるためには、特定の養成講座を受講した上で、このNPOから認定を受けます。
トランスレーターなってからは、企業や学校、地域などで化学物質の健康被害や防止法について情報を提供する役割を果たすことが期待されます。
また、もう一つの取組みは、ケミカルフリータウン構想です。
これは、千葉大学の柏の葉キャンパス内にある環境医学診療所に、化学物質低減住宅のモデルタウンをつくるという構想です。
診療所に訪れた患者さんにシックハウス症候群の疑いがあるときに、化学物質を大幅に低減した住宅に一時的に入居してもらい、原因究明、療養、自宅の改善を効果的にしていこうというものです。
この11月に本格的に始ったばかりですが、今後、柏の葉キャンパス内にケミレスタウンのモデルをつくる計画もあるそうです。
PCB測定による化学物質の健康診断、環境健康学トランスレーター、ケミカルフリータウン構想……環境化学物質の汚染を把握し減らしていくことが、夢物語ではなく、具体的にかたちになってきています。
次世代環境学プロジェクトの取組みが今後も注目されます。