・(2)複合汚染の影響
また、従来の実験では一つの汚染物質の濃度についての実験を繰り返すことで原因汚染物質と疾患の因果関係を明らかにしようとしてきました。
しかし、生物は環境からさまざまな物質を取り入れており、それらの相互作用によって疾患が発現することが考えられます。
この場合、特定の一つの汚染物質に関する研究のみではどのような影響があるかを理解することはできません。
といって、複数の汚染物質を組み合わせて実験を繰り返すことも困難です。
つまり、汚染物質の相互作用がどのような影響を遺伝子の働き与えるかそもそも予測ができない、ということになります。
実験によって現実の複雑な事象を観察することに限界がある、とマイヤーズ氏は述べました。
(3)胎児期の汚染物質への曝露
さらに、汚染物質をあびるとその影響はすぐ現れるとする考え方をマイヤーズ氏は批判しました。
最近のマウスを使った実験から、胎児期に汚染物質に曝露するとその後長い期間を経てから疾患が生じることがわかってきました。
これは、汚染物質に曝露した個体に疾患が出るだけでなく、直ぐには気づかないような染色体異常がその次の子世代、あるいは孫世代になってから影響を与えることも含みます。