子どもの健康と環境ホルモン3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・このような結果が明らかになった理由のひとつとして、内分泌化学物質(環境ホルモン)が進化の淘汰を受けられないほど新しい物質群だからかもしれないという。

またこの解析法は、低用量で影響があるかどうか議論になっている物質に関する、敏感なバイオマーカーになり得ると考えている。

 もう一つのテーマはエピジェネティックスである。

エピジェネティックスとは、遺伝子のDNAにメチル化などの修飾がつくことでその遺伝子の働きを抑制する仕組みのことをさす。

正常なメチル化の働きに異常がおきると病気の発生につながる場合があるので、外部から入ってきた化学物質がメチル化の異常を起こしている可能性やその因果関係を研究しているのである。

 先生は最後に、現代の成人より小児の方がより病気になりやすいと明言した。

それは、同様に病気になりやすい素因をもっていたとしても、現代の小児の方が大人より曝露量が多いからであるという。

臨床の現場にいると患者から学ぶことが多く、従前の毒性試験ではっきりとした結果が出なかったから安全だということは言えない。

そこを何とかクリアーにしたいと考えて研究している。

外因性化学物質に感度が高い群を見つける方法をさらに増やして、確かに敏感な群が存在していることを示すことが求められている。

また環境要因よってメチル化の異常が起るエピジェネティックス変異は、それを人為的に元に戻すことは不可能である。

このため、あくまでも化学物質に曝露されないという「予防原則」、と同時に環境汚染を減らしていくという「予防原則」が重要である。

 DNA、遺伝子、その構造や発現過程という一般人には難しい内容であったが、質問にも丁寧に答えていただき、今後NGOのレベルアップにつながるだろうと思われるシンポジウムになった。


ミニ知識:遺伝子はDNAの一部分で、ヒトの場合、DNA(二重らせん)全体の約2%しかありません。

遺伝子は(当然、DNAも)は4種類の塩基(A,T,G,C)で表され、遺伝暗号文字ともいえますが、特定の順で並んでいます。

このように塩基が並んでいる状態を塩基配列と呼んでいます。

従来の化学物質の影響評価は、遺伝子DNAの塩基配列に変化を起こすかどうかに重点がおかれてきましたが、エピジェネティックスは遺伝子の塩基配列には変化を起こさず、塩基配列にメチル化など特殊な物質を修飾(付加すること)することによって遺伝子発現が制御されることや、その因果関係などを解明する遺伝学の新しい分野です。