・ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議より
http://www.kokumin-kaigi.org/kokumin03_53_07.html
・ニュースレター 第43号 (2006年11月発行)
連載第3回:【環境ホルモン研究の最先端】
環境ホルモン問題の現状と課題
愛媛大学農学部教授・国立環境研究所特別客員研究員 森田 昌敏
環境中の化学物質問題とその対策のトレンド
環境ホルモン問題と重ね合わせながら記すと以下のようなことがあげられる。
1950年代~1970年には、重工業の発展と経済の高度成長と共に公害が顕在化。
水俣病では、胎児性水俣病が発生し、母親よりも胎児の方が毒物に弱いことが示された。
神経症状を含む各種の障害が残っている。
森永ヒ素ミルク、カネミ油症等の食品汚染も発生。森永ヒ素ミルクは、乳児の中毒であり、180人余りの死亡の他、軽い暴露者に発達障害がみられている。
またカミネ油症は、ブラックベビーの誕生の他、次世代影響が強く残っている。1970年~1980年代には、公害の激化と紛争の拡大に対応して、現在の環境諸法律の原型がこのとき整備されている。
1980年代に入り、産業公害問題は沈静化。潜在影響として化学発ガンが議題となる。発ガン物質への研究が進み、リスク評価手法が準備され始めた。
1990年代~2000年代は、発ガン物質の物質規制が進み始める。
一方でダイオキシン問題がブレークし、内分泌撹乱物質も課題となる。
以上のようなトレンドをみると現世代への影響(中毒、発ガン)から次世代影響(生殖、知能、免疫など)がより重要となってきていることは明らかであろう。