・wikipediaより
トリブチルスズ (tributyltin または tributylstannane) とは、示性式が (n-C4H9)3SnH と表される有機スズ化合物。トリ-n-ブチルスズ もしくは 水素化トリブチルスズ(すいそかトリブチルスズ、tributyltin hydride)とも呼ばれ、TBT と略称される。
有機合成においてラジカル的還元剤として用いられる。
かつては酸化物である酸化トリブチルスズ((n-C4H9)3Sn-O-Sn(n-C4H9)3)と共に貝や海草の付着を防ぐ目的で船底や魚網の塗料に加えられていたが、貝のオス化など海洋生物に悪影響を与えることが判明したため、現在これらの使用は国際的に規制されている。
有機合成における用途 [編集]
有機ハロゲン化合物のハロゲンを水素に置き換える還元剤として用いられる[1]。
反応は以下に示す通りラジカル的に進行する。
トリブチルスズをAIBN など適切なラジカル開始剤とともに用いることで、水素がラジカルとして引き抜かれてトリブチルスズラジカル ((n-C4H9)3Sn•) が生じる。
このスズラジカルはハロゲン化アルキルなどのハロゲン原子をラジカルとして引き抜き、発生したアルキルラジカルが新しいトリブチルスズから水素ラジカルを引き抜いてスズラジカルを再び発生させ、そうして反応が連鎖的に続く。生成物はハロゲン化アルキルのハロゲン原子が水素に置き換わった還元体 (R-H) とハロゲン化トリブチルスズ ((n-C4H9)3Sn-X) である。