・wikipediaより
ペンタクロロフェノール(英: Pentachlorophenol、略称PCP)は、化学式C6HCl5Oで表される有機塩素化合物。
用途 [編集]
日本では殺菌剤としてナトリウム塩が1955年9月22日に、除草剤としてナトリウム塩が1956年12月26日に農薬登録を受けた。
その後殺菌剤としてはバリウム塩が1975年3月8日、ナトリウム塩が1989年11月10日、銅塩が1990年6月26日に失効。除草剤としてもヒドラジンが1969年6月20日、カルシウム塩が1975年11月20日、ナトリウム塩が1990年2月19日に失効している。
農業用途のほか木材の防腐やシロアリ駆除、水虫薬にも使用された[1]。アメリカでは獣皮の防腐処理に使用されたが、PCP処理した獣皮から採取した脂肪を与えられたブロイラー数百万羽が水腫で死ぬ事件が1957年に起きている[1]。
安全性 [編集]
日本の毒物及び劇物取締法では1%以下の製剤を除き劇物に分類されている。半数致死量(LD50)はラットへの経口投与で110mg/kg、ラットへの経皮投与で96mg/kg。
最小致死量(LDL0)はヒトへの経口投与で401mg/kg[2]。
国際がん研究機関(IARC)は発癌性についてグループ2B(人に対し発癌性があるかもしれない)としている[2]。
ゼブラフィッシュに対する半数致死濃度(LC50)は15~30μg/L/36Hと、強い魚毒性を持つが、生物濃縮の影響は大きくないと見られている[2]。
PCPを製造していた石原産業・日産化学工業・保土谷化学工業・三井東圧を初め、農家や家具工場などで皮膚障害や肝障害などの職業病が発生し、7人が死亡、90人に中毒症状が起きている[1][2]。
福岡県久留米市の製剤工場では周辺住民に健康被害が発生し、1973年に訴訟が行われた[1]。
不燃性だが200℃以上で分解し、ダイオキシン類を含む有毒ガスを生じる[3]。