・厚生労働科学データベースより
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIST00.do
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・文献番号 200501209B
研究課題 シックハウス症候群の疾患概念に関する臨床的・基礎医学的研究
研究年度 平成17(2005)年度
報告書区分 総合
主任研究者(所属機関) 鳥居 新平(愛知学泉大学家政学部)
分担研究者(所属機関) 坂本 龍雄(名古屋大大学大学院医学系研究科小児科学)、秋山 一男(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究部)、西間 三馨(独立行政法人国立病院機構福岡病院)、高橋 清(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター)、永井 博弌(岐阜薬科大学)、岡本 美孝(千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科頭頚部腫瘍学)、池澤 善郎(横浜市立大学医学研究科生体システム免疫システム医科学、環境免疫病態皮膚科学)、小倉 英郎(独立行政法人国立病院機構高知病院)、内尾 英一(福岡大学眼科学教室)
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
開始年度 平成15(2003)年度
終了予定年度 平成17(2005)年度
研究費
概要版 研究目的:
シックハウス症候群(SHS)の統一した疾患概念を確立し、その病態を明らかにすることにより、予防治療対策のマニュアル作成の資料づくりを目標とする。
研究方法:
質問票による患者さんの病状の把握と医師の認識の把握、発病前の生活習慣などの調査結果の統計学的解析、患者さんを対象とした臨床研究、室内汚染調査、動物実験などを用いた。
結果と考察:
a.発症のきっかけが転居、建物の増築、広範な改築など、b.自宅内の特定の部屋、新築や改築後の建物内で症状が出現する、c.問題になった場所から離れると症状が消失するか軽快する、d.問題になった場所や状況に出会うと症状が10回中5回以上出現するという4つの条件を全て満たした場合、MCSとの比較で感覚刺激症状、全身症状など12項目が特徴ある症状として抽出された。
合併頻度が高いアレルギー疾患(ア疾患)との比較ではSHSでは皮膚粘膜刺激症状や全身症状、嗅覚異常など10項目が有意な症状として抽出され、原因物質に関してもMCSとは異なった特異的な10物質が抽出された。
このような結果からは以上の基準により診断されたSHSは独立した疾患単位として認知しうるものと考えられる。
臨床的研究から生物学的因子の1つであるLPSのSHSの病態への関与の可能性、また高脂血症治療薬(陰イオン交換樹脂製剤)がコレステロールとともに脂溶性のVOCの排出を促し、症状の軽減に寄与する可能性、知覚神経C-fiberの病態への関与の可能性、VOC短期大量曝露の一過性SHS様症状、嗅覚異常発現を示唆する成績が得られた。
さらに発症前の生活習慣に関する調査では健常者に比べ有意にa.飲酒習慣、b.喫煙習慣、c.運動習慣が有意に低かった。
動物実験からはFAやVOCの反復曝露が知覚神経の過敏亢進と免疫系におけるTh2へのシフトすることが明らかになり、これはSHSと類似の病態と考えられた。
また動物実験からFAがVOCsに比べ最もその病態を引き起こす作用が強いことも明らかにされた。
結論:
結果の項で述べた発症・軽快、悪化に関する4つの条件を診断基準とすれば最も特異的なSHSの診断が可能であることが明らかになった。
病態には動物実験や臨床研究からから反復するVOC曝露による知覚神経過敏(知覚神経の過剰分布)と免疫系のTH2へのシフトの関与が示唆される。
公開日 2006年04月18日
更新日 -
研究報告書
ファイルリスト 200501209B0001.pdf 200501209B0002.pdf 200501209B0003.pdf 200501209B0004.pdf 200501209B0005.pdf 200501209B0006.pdf 200501209B0007.pdf 200501209B0008.pdf
公開日 2006年11月28日