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ベンゼンヘキサクロリド (benzene hexachloride, BHC) とは、分子式 C6H6Cl6 と表される有機塩素化合物。シクロヘキサン環が持つ6個の炭素のそれぞれに塩素原子と水素原子がひとつずつ結合したもの。
すなわち、ベンゼンに6個の塩素原子が付加した構造を持つ。
概要 [編集]
BHCは、DDTと同じく塩素を含む有機化合物で、1825年に英国の電気化学者マイケル・ファラデーが合成したのが最初である。
その後、同じく英国のインペリアル・ケミカル・インダストリーズ社のスレードが殺虫力のある物質として発見した。日本で最初にBHCの工業的合成に成功したのは、鐘淵紡績株式会社である。
「ベンゼンヘキサクロリド」という命名は、英語 "benzene hexachloride" の日本式読みであるが、IUPACの命名規則には合っておらず、「1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサン」が正しい命名となる。αからθまで8つのジアステレオマーがあり、α-BHCにはエナンチオマーが存在するので、立体異性体は合計9種類となる。
リンダン (またはリンデン, 英: lindane) と呼ばれ、1941年に神経毒として殺虫効果が見いだされて以来、農業用や住居用の殺虫剤、殺ダニ剤として広く用いられていた。α-BHCとδ-BHCもわずかに殺虫力を持ち、その他の異性体はほとんど殺虫力がない。
特にβ-BHCは、殺虫力がほとんどないのに毒性はガンマ体の5から20倍あるとされ、問題視された。
BHCは環境中で分解されにくく、特にβ-BHCの残留性が問題となったため、現在は多くの国で殺虫剤としての使用が禁止されている。
特に、農薬として使用した場合、動物が食物から摂取して、脂肪、肝臓、腎臓などに蓄積する危険がある。
また、母乳に含まれる例も知られている。
物性 [編集]
水に対する溶解性は低い。安定性が高いことから、自然環境中で分解しにくい。