・2)アレルギー反応
皮膚に侵入した外来の刺激物は、表皮や真皮の免疫機構の見張り番であるランゲルハンス細胞とも呼ばれるマクロファージやリンパ球に異物と認識され、アレルギーの素質のある人は、体を守る免疫反応が逆に体を攻撃するアレルギー反応をおこします
。乳幼児では未熟な消化管から取り込まれた食物が原因となることが多く、大部分のアトピー性皮膚炎は消化管が強くなる2、3才頃に自然治癒します。
アレルギー反応には4つのタイプがあり、アトピー性皮膚炎では1型と4型とがそれぞれ別々に、あるいは同時にアレルギー反応をおこしています。
もうひとつの大事な治療はアレルギー反応に対する治療です。
2. アレルギーはどんな病気?
アレルギーは全身のさまざまな症状や病気をおこします。
代表的なものを書きました。
あまり馴染みのない病気をいくつか説明します。
1.アナフィラキシーショック
IgEが関与する1型アレルギー(後述します)のなかでは最も重いアレルギー反応で、呼吸困難、血圧低下、全身けいれんのショック症状きたし、死亡することがあります。蜂に刺されたり、ペニシリンショックなどがそうです。幸い滅多にありませんが、注意しなければならないので真っ先に書きました。
2. 血清病
治療目的、たとえばマムシ咬傷のために抗マムシ毒馬血清のような異種血清を注射したのち、3日~3週間目ごろに発熱、体のだるさ、発疹、関節痛、リンパ節腫張、脾臓腫大を来たします。
3. 溶血性貧血
自己の赤血球に対して抗体が産生され、赤血球が破壊されます。薬剤は分子量が小さく、それだけだは抗体を作りません。しかし赤血球と結合すると、薬剤と結合した赤血球に対する抗体が作られ、さらに補体が結合し、細胞膜に孔をあけて赤血球を破壊します。同じことが血小板に起これば血小板減少性紫斑病となります。薬剤としては精神安定剤のクロルプロマジン、鎮痛解熱剤のフェナセチン、アミノピリンなどです。
4. 重症筋無力症
筋細胞膜に存在するアセチルコリン受容体に対する抗体によって神経筋接合部位が障害を受け、筋力低下を起こします。
5. グッドパスチェア症候
肺と腎臓に一部共通して存在する組織に対して自己抗体が産生され、肺と腎臓にアレルギー反応が起こり、血痰、喀血、呼吸困難と糸球体腎炎を起こします。