・厚生労働科学データベースより
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIST00.do
・文献番号 200832010A
研究課題 食物アレルギーの発症・重症化予防に関する研究
研究目的:
食物アレルギーの疾患概念や治療論の確立を支援し、また患者のQOLを高め、併せて保健医療や厚生行政に直接的な情報提供を行うことで、多角的に食物アレルギーの発症および重症化の予防に寄与すること。
研究方法:
1)【即時型食物アレルギーの全国モニタリング調査】では、調査参加協力医師に調査を行った。2501例の即時型食物アレルギー症例が集積、分析された。2)【食物アレルギー患者に対する栄養指導方法の確立に関する研究(海老澤分担)】では、前年度までの成果を踏まえ、専門医師、栄養士等による委員会を組織し、栄養指導方法を体系化した。
3)【新生児ミルクアレルギー(消化器症状型)に関する研究(板橋分担)】では、前年度までの成果を踏まえ、アレルギー専門医、新生児専門医による委員会を組織し、疾患の鑑別、診断、経過観察に関して体系化した。
4)【食物アレルギーの適正な診断と治療法に関する研究(伊藤分担)】では、牛乳アレルギーの耐性化の指標としての抗原特異的IgEおよびIgG4の検討を行った。
結果と考察:
1)【モニタリング調査研究】では、原因食物は鶏卵、牛乳、小麦が多く、上位3食物で71.5%を占めた。原因食物は特定原材料等の義務7品目で82.6%(2,065例)を占め、推奨18品目を併せると93.6%(2,341例)を占めた。発症年齢は0、1歳で53.0%を占め、全発症症例の44.5%が誤食例であった。
ショックは11.3%で認められ、アドレナリンは12.3%に使用され、10.9%が入院していた。本調査から、現行のアレルギー表示法の妥当性が示され、食物アレルギーに関する厚生行政の指針、重症化の予防に寄与することができた。
2)【栄養指導方法研究】では、「食物アレルギーの栄養指導の手引き2008」を作成し、適切な栄養指導が行われないことによる食物アレルギーの2次的な重症化予防し患者のQOL向上に寄与することができた。
2万部印刷し、関係各所に既に配布済みである。
3)【新生児ミルクアレルギー研究】では、「新生児ミルクアレルギー疑診時の診療の手引き」を作成した。これにより、同疾患の早期診断、治療、重症化予防に寄与することができた。
4)【適正な診断研究】では、よりリスクの少ない負荷試験への導入手法の解明に寄与することが出来た。
結論:
以上4研究の成果は当初の目的を充足し余りある。今後はそれぞれの分担研究が、研究を通して新たに明らかになった問題点や課題に対して引き続き検討されることを期待する。
公開日 2009年06月05日
更新日 -
研究報告書
ファイルリスト 200832010A0001.pdf 200832010A0002.pdf
公開日 2009年12月11日
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