症状 [編集]
前項で述べたように精神遅滞があげられる。
また、チロシンから誘導される甲状腺ホルモンやメラニン、カテコールアミンの不足による各症状が起こる。具体的には、甲状腺ホルモンの不足によって原発性甲状腺機能低下症、メラニンが不足すると頭髪や皮膚の色が薄くなり、カテコールアミンが欠乏することで神経症状も呈する。ただし、チロシンは食餌中から摂取できるためこれらの症状があらわれないこともある。
診断 [編集]
フェニルアラニン誘導体を大量に含む尿となるので、ネズミの尿のようなにおいを放つ。
現在の日本では、血液を用いた新生児マススクリーニングで血中フェニルアラニンの高値が認められた場合、精密検査となり、BH4負荷テストによってビオプテリン代謝異常症と見分ける。BH4負荷テストは、BH4を大量に与えたときに血中のフェニルアラニンが一定量以上減少するかどうかをみるもので、古典的フェニルケトン尿症では減少がみられないが、ビオプテリン代謝異常症では減少する。
治療 [編集]
フェニルアラニンの血中濃度が低いまま維持されれば、正常に発育する
古典的フェニルケトン尿症 [編集]
現在、根治する方法は無い。しかしながら、原因が判明しているので低フェニルアラニン食を血中濃度と照らし合わせながら続ける対症療法が行われる。具体的には、フェニルアラニンを含まない特殊な栄養ミルクと、フェニルアラニンのもととなる蛋白質を含む一般の食事とを、厳密な計算のもと過不足なく摂取する(フェニルアラニンは必須アミノ酸であるため、一般の食事蛋白をゼロにはしない、コントロール下であれば、母乳も摂取可能である)。
治療は生後できるだけ早期に開始し、特に、脳が発達中の乳児期から小児期は厳密にコントロールする。最近は、脳の発達が終わった後も、生涯治療を継続することが望ましいとされるようになってきた。
血中フェニルアラニン濃度の管理に注意しなければならないが、早期治療によって精神遅滞などは防ぐことができ、健常者と同様な生活を送ることができる。フェニルケトン尿症と名前がついてはいるものの、現在ではアレルギー等のように体質だと考えることもできる。
ビオプテリン代謝異常症 [編集]
これも古典的フェニルケトン尿症と同じく対症療法のみである。
テトラヒドロビオプテリンの摂取を続けることで、血中のフェニルアラニンは低下する。