WHO 環境保健超低周波健康影響6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・1.1.5 神経内分泌系
ボランティア研究、居住および職業の疫学研究の結果から、商用周波数電界または磁界へのばく露は神経内分泌系に有害な影響を及ぼさないことが示唆されている。

これは特に、松果体から放出されるメラトニンや、下垂体から放出され代謝と生理の調節に関与するいくつかのホルモンを含め、神経内分泌系の特定のホルモンの循環レベルに当てはまる。

ある種のばく露の特徴と関連するメラトニン放出のタイミングに、微妙な違いが観察されることが時々あるが、このような結果は一貫していない。

同じようにホルモンレベルに影響を及ぼしうる、様々な環境および生活様式上の要因による交絡の可能性を排除することは非常に困難である。ELFばく露がボランティアの夜間のメラトニンレベルに及ぼす影響に関するほとんどの実験室研究では、可能性のある交絡因子のコントロールに配慮した場合には、影響は見られなかった。
商用周波数電界および磁界がラットの松果体や血清メラトニンレベルに及ぼす影響を調査している多数の動物研究から、ばく露により夜間にメラトニンが抑制されたという報告もあった。
メラトニンレベルの変化は、100kV m-1までの電界ばく露に関する初期の研究で最初に観察されたが、再現できなかった。

回転磁界が夜間のメラトニンレベルを抑制することを見出した、より最近の一連の研究の知見は、ばく露動物と歴史的対照動物との比較が不適切であったため、その意味合いは弱められた。

齧歯類を用いたその他の実験のデータは、数μTから5 mTまでの強度レベルに亘っているが、あいまいなものであり、メラトニンの抑制を示している結果もあれば、何ら変化を示さないものもある。

季節的に育種する動物では、商用周波数の電磁界へのばく露がメラトニンレベルおよびメラトニン依存性の生殖状態に及ぼす影響に関する証拠は、否定的なものが支配的である。商用周波数の電磁界に慢性的にばく露されたヒト以外の霊長類の研究では、メラトニンレベルに及ぼす説得力のある影響は見られていないが、2種類の動物を用いた予備的研究で、不規則な間欠的ばく露に対するメラトニンの抑制が報告されている。
In vitro研究は比較的少数しか行われていないが、ELF界へのばく露が摘出した松果体のメラトニン産生または放出に及ぼす影響は様々である。

ELFばく露がin vitroの乳がん細胞へのメラトニンの作用を阻害するという証拠は興味深い。

しかし、このシステムでは、研究機関ごとの細胞株の統一性を阻害しうるような、遺伝子型および表現型の変異が培地上で頻繁に見られるという欠点がある。
様々な哺乳類における、下垂体-副腎軸のストレス関連のホルモンにおける一貫した影響は示されていない(可能性のある例外としては、知覚されるのに十分なレベルのELF電界ばく露の開始後の短時間のストレスがある)。

同様に、実施された研究は少数だが、その大半では、成長ホルモン、および、代謝活性調節に関与している、または生殖および性的発育の制御に関係しているホルモンのレベルについて、否定的または一貫性のない影響が示されている。
全体として、これらのデータは、ELF電界および/または磁界が、ヒトの健康に有害な影響を与えるほどには神経内分泌系に影響することを示しておらず、よって証拠は不十分であると考えられる。