・病態・原因 [編集]
メニエール病の本体は内耳の内リンパ水腫である[2]。
内リンパ水腫によって前庭と蝸牛の感覚細胞が障害され突発的で激しい回転性のめまいと同時に耳鳴りや難聴などの蝸牛障害症状の発作が繰り返す。
内リンパ水腫は内リンパ液の産生と内リンパ嚢における内リンパ液の吸収の不均衡により生じると考えられている。
内リンパ水腫は主に一側性であるが、両側性に移行する場合も20~30%存在する[1] 。
内リンパ水腫の発生する機序は不明であるが、メニエール病の発症にはストレスが強く相関していることが分かっている[1][7]。
めまいや聞こえの症状の機序について
内耳はカリウムに富んだ内リンパ液で充填された膜迷路と呼ばれる器官と骨迷路と膜迷路の間を充填するナトリウムに富んだ外リンパに別れているが、メニエール病の本体である内リンパ水腫(膜迷路に内リンパ液が過剰に貯まり、膨らんだ常態である)の内圧上昇により内リンパと外リンパを隔てている膜が膨張しついには破裂するとカリウムに富んだ内リンパとナトリウムに富んだ外リンパが混合し感覚細胞が化学的刺激を受けること、あるいは物理的な刺激などが、激しいめまいや聞こえの症状として感じられる。
内リンパと外リンパを隔てている膜は短時間で閉鎖するが再度内リンパ液が貯まると、また膨張・破裂を繰り返しめまいや聞こえの症状も繰り返す。
感覚細胞が刺激を受けることが重なると感覚細胞の機能がだんだん劣化し様々な症状が常態化するようになる。[8][9]
また、めまい発作時以外に聞こえの症状が出るのは内リンパ水腫によりリンパ腔内圧が上昇し聴覚細胞が圧迫されることによるという説もある。[10]
診断基準 [編集]
日本めまい平衡医学会の診断基準では下記の1)2)3)を満たせばメニエール病と確定診断とする。
また、1)と3)、あるいは2)と3)のみの場合にはメニエール病の疑いとする。[1]
1) 数十分から数時間の回転性めまい発作が反復する。
2) 耳鳴り・難聴・耳閉塞感がめまいに伴って消長する。
3) 諸検査で他のめまい・耳鳴り・難聴を起こす病気が鑑別できる。