エグゼクティブ・サマリー
環境のなかの因子に対する人々の反応は、非常に大きく変わる。
例えば、目が青くて髪が赤い人は日光に敏感で、肌の色が濃い人よりもずっと赤く日焼けすることを、私たちは皆、知っている。化学物質や電磁波等の環境の他の様相に対して、衰弱する反応を示す人がいることは、あまり十分に知られていないようだ。
この報告書は、環境過敏症の医学的様相について、雇用主、サービス提供者、カナダの人たちに情報を提供するために作成された。
環境過敏症に関する科学的文献を評価し要約した。オリジナルの科学的、技術的文献に関心がある人のために、注釈付きの参考文献を用意した。
当報告書は下記を評価する;環境過敏症の認定や認識を含む医学的な問題;この健康状態に関わる状態と症状の幅;科学的に妥当な診断基準の開発;医学的調査と治療;過敏な人々の配慮に影響を与える建築規定と実施に関する問題;職場における調整に関わる費用とベネフィット。
カナダ人の約3%は、環境過敏症と診断されている。彼らは普通、神経学的症状を経験し、垂れやすい目や鼻、頭痛、疲労、痛みと呼吸や消化の問題をしばしば体験する。環境過敏症は、「シック・ビルディング(訳注:日本では一般にシックハウスと呼ばれている)」に見られるように、低レベルの化学物質へ慢性的に曝露した後で徐々に、または環境災害や化学的流出への大規模な曝露の後で突然、発症する。
この状態は、カビや殺虫剤、溶剤、カーペットや家具から発生する化学的オフ・ガス(訳注:何らかの過程で流出する、環境に影響を与える気体)、電磁的現象などの環境因子のひとつ、または、いくつかの組み合わせによって始まるだろう。
一度、環境過敏症になると、他の多くの人々には発生することが少し難しく、
以前には耐えられた曝露のレベルでの、幅広い因子で反応が起きる。
その症状は繰り返す曝露で再現性があり、環境因子を避けることで軽減される。
労働者の能率に関する環境過敏症の影響は、軽いものから(例:作業能率は異常ではないが、最高の水準に次ぐレベルになるような慢性的な曝露への慣れ)から働くことが不可能な苛酷なものまで多岐にわたる。
早期の認識、環境管理、症状を誘引する因子を避けること、身体から残留毒物を排出すること、正常な生物学的プロセスを回復することが、過敏な人々のための健康を維持し、回復する鍵だ。
しかし、過敏症への影響されやすさは、一生続くだろう。