・
7. この病気にはどのような検査法がありますか
神経内科の診察できわめて特徴的な所見の組み合わせがみられますので、神経内科を受診することが重要です。
血液検査、腰椎穿刺で髄液検査を受け、血液でも髄液でも抗HTLV-1抗体が陽性であることは診断の確定に必要です。
また、類似の症状を示す他の病気を除外するために、脊柱のレントゲン撮影やMRI検査がおこなわれます。
8. この病気にはどのような治療法がありますか
発症メカニズムから考えると、ウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス療法が最も理にかなった治療法といえます。
しかし、残念ながらこれまでにウイルスの体内での増殖を抑制する薬剤は見つかっていません。
しかし、いくつかの薬剤が症状を軽減したり進行を遅らせる効果があることが報告されています。
ステロイド剤の内服により約7割の患者で何らかの治療効果が見られました。しかし感染症の誘発、糖尿病の悪化、骨粗鬆症による大腿骨頸部骨折などトラブルなどが少なからずみられており、長期の連用が難しく、中止によりしばしば再燃がみられています。
インターフェロンαは唯一有効性が確かめられ、保険適用となっている薬剤です。治療後ウイルス量が減少していること、HAMでみられる免疫異常が改善していることがわかっています。
うつ症状や肝障害、白血球減少などの副作用に注意が必要です。
一方、患者の長期追跡調査では、約半数では10年間に運動障害の進行はほとんどみられませんでした。そのような非活動期には,痙性や排尿障害に対する対症療法や継続的なリハビリテーションが推奨されます。
特にリハビリテーションは大切で、腰回りの筋力増強やアキレス腱の伸張により、歩行の改善が得られます。
9. この病気はどういう経過をたどるのですか
下肢のつっぱり感、歩行時の足のもつれで発症することが多いですが、頻尿、尿閉など膀胱直腸障害やしびれ感が初発症状のこともあります。
通常は緩徐進行性で慢性に経過しますが、進行が早く数週間で歩行不能になる例もみられます。
高齢での発症者で進行度が早い傾向があり、重症例では両下肢の完全麻痺、体躯の筋力低下による座位障害で寝たきりとなります。
一方で、運動障害が軽度のまま長期にわたり症状の進行がほとんどみられない患者も多くみられます。
上肢の完全麻痺や嚥下や発声の障害などを来す例はほとんどみられません。ただ、歩行障害による転倒は大腿骨頸部骨折などで寝たきりになるきっかけとなります。
尿路感染の繰り返しや褥瘡などにも十分注意が必要です。