・4. この病気の原因はわかっているのですか
この病気の原因は不明ですが、体内で、動脈血中の炭酸ガスあるいは酸素の程度を正常に保つ呼吸調節系の異常が考えられています。
動脈血の炭酸ガスの程度は主に、延髄にあると考えられる中枢化学受容野の化学受容体によってモニターされます。低酸素の程度は頚動脈の内頚動脈と外頚動脈の分岐部付近にある頚動脈体によってモニターされています。
これらの刺激は呼吸中枢に伝達され、炭酸ガスが多ければ呼吸が刺激され、少なければ抑制されます。
酸素に関しても、少なければ頚動脈体は刺激され、中枢では呼吸は抑制されます。
原発性肺胞低換気の患者さんでは、低酸素ガス吸入による換気量の増加が少なく、また、高炭酸ガス吸入を行っても、換気量の増加が少なく、上述の炭酸ガスあるいは酸素をモニターし、呼吸中枢に至る経路のどこかに障害があるものと考えられます。
5. この病気は遺伝するのですか
この病気は遺伝しないと考えられます。
この疾患は、現在の診断技術では診断できない呼吸調節系のなんらかの異常と考えられ、血管障害などの後天的な異常と考えられます。
鼻マスク陽圧人工呼吸で治療をしている原発性肺胞低換気症候群の女性で、妊娠・出産された方がありますが赤ちゃんには異常ありませんでした。
しかし、低酸素ガスを吸入した場合、換気量の反応の低い人は家族に集積する可能性があるので、4で説明した可能性は残ります。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
この病気の症状としては、高炭酸ガス血症、低酸素血症などの血液ガスの異常の進み具合と関係します。
異常の少ない初期には自覚症状が少なく、通常は炭酸ガスが高いだけでは自覚症状はほとんどなく、病状が進み、さらに炭酸ガスが高くなり、酸素も低くなると体動時の呼吸困難、睡眠中の息苦しさ、昼間の眠気などが出現し、さらに進むと右心不全による浮腫なども出現します。
胸部レントゲン写真の異常は少なく、肺機能検査も正常であるので、動脈血採血により、動脈血中の炭酸ガス分圧を調べないと診断がつかないことがしばしばあり、診断のつけにくい病気と言えます。