・○ 携帯電話などの無線設備に関する規制
ICNIRPガイドラインでは、高周波電磁界への公衆のばく露限度は周波数によって異なり、電界強度で27.5~61V/mです。
我が国でも、「電波防護指針」において、これと同等のばく露限度(電界強度で27.5~61.4V/m)が制定されています。
総務省は「電波法施行規則」において、この電波防護指針のばく露限度を越える場所への公衆の立ち入りを防止するための規制を実施しています。
経済産業省総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会電力安全小委員会電力設備電磁界対策ワーキンググループ報告書(平成20年)http://www.meti.go.jp/report/data/g80630bj.html
より。
また、ICNIRPガイドラインでは、携帯電話などのように身体の近くで使用される無線機器から発せられる高周波電磁界については、公衆の局所ばく露に対する基本制限はSARで2W/kg(頭部と体幹)とされています。
我が国の「電波防護指針」でも同様に、頭部における局所SARを2W/kgとする規制が制定されています。
これらの法令の条文(抜粋)を別添に示します。
Q.9:日本での生活環境中の電磁界レベルを教えてください。それは規制値やガイドラインの値と比較してどれくらいのレベルですか?
A.9: 我が国における生活環境中の電磁界レベルは、人体への影響があるとされているレベルの数十分の一から数十万分の一以下です。
【解説】
○ 鉄道の車内外及びホーム
我が国においては、鉄道の車内外及びホームでの静磁界の強さ(磁束密度)は1mT以下です。
これに対し、静磁界についてのICNIRPガイドラインにおける公衆に対する限度値は400mT(=400,000μT)です(p.27参照)。これまでの研究で人体への影響があるとされているレベルは、2~4T(=2,000,000~4,000,000μT)です。
つまり、鉄道の車内外及びホームでの静磁界の強さは、人体への影響があるとされているレベルの数百分の一以下です。
○ 家電製品及び送電線などの電力設備
我が国においては、家電製品から生じる超低周波磁界の強さ(磁束密度)は概ね10μT以下、送電線などの電力設備からの強さは概ね20μT以下です。
これに対し、超低周波磁界についてのICNIRPガイドラインにおける公衆に対するばく露限度(参考レベル)は、50Hzで100μT、60Hzで83μTです。
この参考レベル以下であれば、体内の誘導電流密度は基本制限の2mA/m2以下となります。
これまでの研究で人体への影響があるとされている誘導電流密度のレベルは100mA/m2です。
つまり、家電製品及び電力設備から生じる超低周波磁界の強さは、人体への影響があるとされている誘導電流密度を生じるレベルの百分の一から数十分の一以下です。
○ 携帯電話基地局などの無線設備
我が国においては、携帯電話基地局から生じる高周波電磁界の強さ(電界強度)は5V/m以下(電力密度では0.0066mW/cm2以下に相当)です。
これに対し、高周波電磁界についてのICNIRPガイドラインにおける公衆に対するばく露限度(参考レベル)は、周波数によって異なりますが、電界強度で27.5-61V/m、電力密度で0.4-1mW/cm2です。
我が国の電波防護指針も、この参考レベルと同等(電界強度で27.5~61.4V/m、電力密度で0.2-1mW/cm2)です。
この参考レベル以下であれば、全身平均の比吸収率(SAR)の基本制限の0.08W/kg以下になります。
これまでの研究で人体への影響が生じるとされている全身平均SARのレベルは4W/kgであり、携帯電話基地局から生じる高周波電磁界の強さは、人体への影響が生じるとされているレベルの数百分の一以下(電界強度で計算した場合)です。
runより:平成22年度の報告書ですが、色々考えてしまう所があります。
次記事で考えを述べたいと思います。