・○ ガイドラインの最新の状況
ICNIRPは、電磁界の健康影響に関する世界中の研究動向を精査して、ガイドラインの根拠や限度値の見直しが必要かどうかの検討を継続的に行っています。
静磁界については、ICNIRPは2009年(平成21年)にガイドラインを改訂しました。
このガイドラインの限度値を表5に示します。
表5 静磁界に対するICNIRPガイドライン(2009年(平成21年))の限度値
ばく露の特性
職業的ばく露 磁束密度
頭部及び躯体部のばく露 2T
四肢のばく露 8T
公衆のばく露
身体の任意の部分のばく露 400mT
・Q.8:電磁界についての日本の規制を教えてください。
A.8:送電線などの電力設備については、電界を3kV/mとする規制が制定されています。
携帯電話基地局などの無線設備については、電界強度で27.5~61.4V/mのばく露限度を越える場所への公衆の立ち入りを防止するための規制が制定されています。
また、携帯電話などの人体頭部における比吸収率(SAR)を2W/kgとする規制が制定されています。
【解説】
○ 送電線などの電力設備に関する規制
ICNIRPガイドラインでは、送電線などの電力設備から生じる超低周波電界への公衆のばく露限度(電界強度)は50Hzで5kV/m、60Hzで4.2kV/mです。
これについて経済産業省は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」において、ICNIRPガイドラインよりも厳しい、電界強度を3kV/mとする規制を実施しています。
また、ICNIRPガイドラインでは、超低周波磁界への公衆のばく露限度(磁束密度)は50Hzで100μT、60Hzで83μTです。
我が国には、超低周波磁界に対する規制は今のところありませんが、経済産業省は現在、このICNIRPガイドラインの磁束密度を規制として導入することを検討しています。