・6. この病気ではどのような症状がおきますか
1998年の全国調査では、初発症状としては、側頭動脈痛、限局性の頭痛、頭皮部の疼痛、側頭動脈の拍動性の頭痛などが約70%の患者さんに認められます。
頭痛は、拍動性で、片側性で、夜間に悪化しやすいことが知られています。
有痛性または肥厚性の側頭動脈を触れます。発熱、体重減少などの全身症状は約40%の患者さんに認めます。
眼症状(視力・視野障害、虚血性視神経炎など)は約34%の患者さんに認め、筋肉痛と関節痛はそれぞれ20%、13%ぐらいの患者さんに認められます。
経過中の臨床症状は、頭痛が約20%、眼症状が約48%、発熱など全身症状が約55%、関節・筋症状が約45%などを認めます。
眼症状を有する症例は、リウマチ性多発筋痛症の合併、体重減少、筋肉痛などの全身症状が少ない傾向があります。
リウマチ性多発筋痛症が約30%認められ、四肢近位筋の疼痛を示します。大動脈にも障害がおこることがあり、このため、間欠性跛行、解離性大動脈瘤などをみることがあります。このほか、うつ病、不安感、記銘力低下、器質的脳症状(脳梗塞など)、聴力障害などをみることがあります。
検査所見では、赤沈亢進、CRP陽性、白血球増多、貧血が認められます。
自己抗体は一般的には陰性です。筋原性酵素(CPK,ALDなど) は正常です。眼底検査では、視神経乳頭の虚血性変化、網膜の綿花様白斑、小出血なとが認められます。
頸動脈の血管造影で動脈の狭窄・閉塞が認められます。
側頭動脈の生検により巨細胞性動脈炎を認めますが、病変は必ずしも連続性ではないために、2-3cmの動脈の生検が必要であることが知られています。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
早期に発見し、ステロイド療法を行います。
これにより、視力障害までの進行が予防できます
。プレドニゾロン1日体重1kgあたり0.6mg~0.8mg(体重50kgの患者さんでは30~40mg)より内服治療を開始します。
失明のおそれがある場合にはステロイド大量による治療が必要です。
その後、ステロイド剤の漸減療法が行われます。
漸減後は、一定量のステロイド薬(維持量)を必要とする患者さんが多く、一部の方では中止できる場合もあります。
ステロイド療法で十分に血管の炎症が抑えられない場合や、ステロイド薬の漸減に伴って血管の炎症が再燃する場合には、メトトレキサートなどの免疫抑制薬を併用することがあります。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
ステロイドが著効し、数年以内に寛解状態になります。
最も留意すべき点は失明に対する配慮ですが、早期からのステロイド治療により防止が可能です。
予後は良好です。厚生省研究班の調査結果では治癒・軽快が87.9%の患者さんに認められました。