シェーグレン症候群3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・8. この病気ではどのような治療があるのですか
現状では根本的にシェーグレン症候群を治癒させることは出来ません。

したがって治療は乾燥症状を軽快させることと疾患の活動性を抑えて進展を防ぐことにあります。

目の乾燥、口の乾燥はひどくなると著しく生活の質(QOL)を障害しますので、毎日の点眼、口腔清潔を心がける必要があります。

エアコン、飛行機の中、風の強い所、タバコの煙などに注意が要ります。皮膚に対して、石鹸の使用、頻繁に風呂に入ること、特に熱い湯は良くありません。

膣の乾燥の原因については、アンケートでは20%の患者さんに性交不快感があり、エストロジェンの内服やエストロジェン入りのクリームなどを使用することが必要となりますので、婦人科を受診するのが良いでしょう。

規則正しい生活、休養、バランスのとれた食事、適度の運動、ストレスを取り除く等の注意が必要です。
  「未来技術の実現予測」(文部科学省科学技術政策研究所、2001年)では、「2021年に自己免疫疾患が完治可能になる」としていますので、この頃には「シェ-グレン症候群の治癒」が期待されます。これは日本の専門家たちの予測で、このような予測を頭に入れて患者さんと医師が協力し合って忍耐強く病気に対応することが重要でしょう。

1.眼乾燥(ドライアイ)に対する治療
治療法は(1)涙の分泌を促進する、(2)涙の補充、(3)涙の蒸発を防ぐ、(4)涙の排出を低下させる方法がとられます。

(1)涙の分泌を促進する方法として、ステロイド薬による抗炎症作用や炎症細胞の浸潤抑制による効果が一部で期待されます。塩酸セビメリンがヨーロッパでは涙の分泌にも効能が認められていますが、日本では適応が取れていません。一部の患者さんには効果があります。

(2)涙の補充には人工涙液や種々の点眼薬があります。

これらを1日3回以上使用します。

点眼薬には防腐剤が入っていますので、何回も点眼するときは防腐剤による角膜障害が問題になります。この場合は普通の点眼の後に防腐剤の入らない点眼薬(生理的塩水、ソフトサンティア)で洗い流すか、防腐剤のはいらない使い捨ての点眼薬(ヒアレイン・ミニ)を使う方が良いでしょう。

傷害された角膜上皮の再生促進や角膜炎の治療の目的で、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ビタミンA、フィブロネクチンなどを含んだ点眼薬が使用されます。

別の治療として、自己血清を採取してこれを薄めて使用する方法が推奨されています。血清の中には上皮成長因子、ビタミンなどの様々な物質が入っているからです。

(3)涙の蒸発を防ぐために、眼鏡の枠にビニール製のカバーをつけたモイスチャー・エイド(ドライアイ眼鏡)があります。

(4)涙の排出を低下させるためには、鼻側の上下にある涙の排出口である涙点を閉じる方法があります。

それには涙点プラグで詰める方法や、手術によって涙点を閉鎖する方法があります。

これらはいずれも患者さんに大変評判のよいものです。眼科医に相談して下さい。

2.口腔乾燥に対する治療
シェーグレン症候群の患者さんは虫歯になりやすいので、口内を清潔に保つことが非常に大切です。

まず、口腔乾燥作用を持つ薬剤を服用しているときはこれを中止することです。その他(1)唾液の分泌促進、(2)唾液の補充、(3)虫歯の予防や口内の真菌感染予防、(4)口腔内環境を改善することなどです。


(1)唾液分泌の刺戟、促進
・唾液分泌を刺激するものとして:シュガーレスガム、レモン、梅干などがあります。
・唾液分泌を促進するものとして:アネトールトリチオン(フェルビテン)がありますが、尿の着色、腹鳴などの副作用が出現することがあります。

他にブロムヘキシン(ビソルボン)、漢方薬(人参養栄湯、麦門冬湯)なども用いられますが、これらの薬剤は、患者さんによっては有効です。

副腎ステロイド剤も有効であり、症状に合わせて使用されます。

特に、唾液腺腫脹をくり返す時には有効です。塩酸セビメリン(エポザック、サリグレン)は今までの薬剤に比べて有用性が高く、約60%の患者さんに有効で患者さんの評価もかなり良いものです。

副作用として消化器症状や発汗などが約30%の患者さんにあります。

本剤は人により作用、副作用に大きな違いが見られますので、1日1錠から始め、副作用を見ながら1錠ずつ増量するなどの慎重な服用が望まれます。また、マレイン酸トリメブチン(セレキノン)の併用は、吐き気などの副作用を予防することが報告されています。

さらに、水に溶かしてうがい薬として使う方法も検討されています。2007年日本において塩酸ピロカルピン(サラジェン)が保険適用となりました。

汗をかきやすいという副作用がありますが、塩酸セビメリンと同様に唾液分泌に有効な薬剤です。

頭頚部の放射線治療に伴う口腔乾燥症状の改善に対しては、平成17年9月より保険が適用されています。

(2)唾液の補充はサリベートや2%メチルセルロースが人工唾液として使われます。

サリベートは噴霧式で舌の上だけでなく、舌下、頬粘膜に噴霧した方が口内で長持ちします。

また、冷蔵庫保存で不快な味が消えます。