環境省調査業務報告書平成14年度12 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・4)全白血病および全脳腫瘍以外の健康影響について(省略)

・4)-1乳がんについての研究
○ Pollan Mら(3)は、男性の乳がんと磁界曝露との関連性について、後ろ向きコホート研究を行った。曝露レベルの幾何平均値が全体の下位4分の1(0.12μT)より高い群の、低い群と比較した男性乳がんの相対危険度は1.31(95%信頼区間0.94~1.81)であり、有意な増加は認められなかった。

また対象者全体において、曝露レベルとリスクの増加との傾向の関連性もみられなかった(p=0.625)。

そのため結論として、男性の乳がんの発生に関して、超低周波磁界が影響するという明らかな証拠は得られなかった。

○ Reynolds Pら(4)は、航空機の客室乗務員を対象にした後ろ向きコホート研究により、電磁界の職業性曝露と様々ながんの発生との関連性を調べた。女性における全がんの標準化罹患比が1.05(95%信頼区間0.86~1.27)であるのに対し、乳がんの標準化罹患比は1.42(95%信頼区間1.09~1.83)と有意に高い結果が得られた。

しかしこの研究では、電磁界以外にも客席乗務員が曝露すると考えられる宇宙線や化学物質等の影響について考慮されていないので、乳がんのリスクの増加を電磁界曝露の影響とするとしての評価を与えるは難しいと考えられる。
○ Davis Sら(7)は、乳がんと診断された813名を症例とし、5歳毎に分類した年齢をマッチさせて選択した793名を対照として、症例対照研究を行った。

その結果、住居での磁界測定結果、ワイヤーコードによる分類、および電気製品の使用状況の差と乳がんのリスクの増加とは、いずれも関連性を認めなかった。

○ Van Wijungaarden Eら(12)は、乳がんと診断された843名を症例とし、年齢(5歳以内)、および人種をマッチさせて選択した773名を対照として、症例対照研究を行った。

職場における磁界曝露レベルを測定し、累積磁界曝露を計算して乳がんのリスクとの関連性を調べたが、職業性電磁界曝露が乳がんの原因になることを示す結果は得られなかった。
○ McCurdy ALら(15)は、273名の女性(勤労者133名、主婦69名)を対象者として、教師、看護師、オフィス労働者、コンピュータープログラマー、工場労働者、およびその他の職種における職場(勤労者)と住居(主婦)における磁界曝露レベルを測定したが、曝露レベルの有意な差は認められなかった。

そのため、これらの職種において磁界曝露により乳がんのリスクが増加することを示す結果は得られなかった。