・結果と考察
(1) 「寝室の磁界レベル」の分布
「寝室の磁界レベル」の分布を見ると(表1.1)、0.2 μT ( 2 mG ) 未満は743名(95.7%)、0.2 μT 以上は33名(4.3 %), 0.3 μT 以上は16名(2.1 %), 0.4 μT 以上は6名(0.77 %)であった。
(2) 「寝室の磁界レベル」と発生源との関連
屋内で測定される1週間の磁界レベルが0.3 μT あるいは0.4 μT以上で、かつ、時間平均磁界レベルが(変動はあっても)全体的に高レベル傾向を示している場合には、屋外の高圧送電線、三相の配電線、100Vの家屋内外の配線などで発生している磁界を反映していることが考えられる。
つまり、磁界レベルの測定は原則、周辺の電気機器から発生する磁界の影響を受けない条件下でおこなわれており、また、近傍で電気機器が使われた場合でも、磁界レベルの変動パターンは不規則な変動を示すため、上記の発生源の磁界によるパターンとは異なると考えられるからである。
そこで、まず、高圧送電線からの距離別に「寝室の磁界レベル」の平均値を見ると、距離が50m以内の対象者(14名)では、100m以上(723名)あるいは50-100m(39名)の対象者に比較して有意に高い傾向が示された。
一方、「寝室の磁界レベル」の分布を送電線からの距離別にみると、50m以内の地域では全体的に低いレベルのものが?ないものの、0.3μT あるい0.4μT 以上のレベルを示すものも?ない傾向を示している。
他方、100m以上の地域では低レベルのものも多いが、0.3μTあるいは0.4μT を越えるレベルを示すものも?なくなかった。
なお、この図は、参考までに50HZ地域と60HZ地域を分けて示してあるが、上記傾向は50Hz地域で強い傾向があった。
なお、高圧送電線が100m以内に見られない場合には、住居の周辺に三相の配電線や変電所や変圧器、さらには住宅内の配線などの寄与が考えられ、そうだとすれば、「寝室の磁界レベル」と屋外で測定された磁界レベルとが近似しているかどうか、また、変動のない高レベルが持続しているのか、あるいは送電線周辺などに特徴的な日内あるいは週間変動をするのかなどが問題となる。