・環境省HPより
http://www.env.go.jp/chemi/report/h17-10.pdf
環境省調査業務報告書
平成14年度 生活環境中電磁界と健康リスク評価に係る調査
報告書
平成15年3月31日
独立行政法人国立環境研究所平成14年度生活環境中電磁界に係る調査業務
検討会委員名簿(敬称略・あいうえお順)
氏名(省略)
・1. 小児がん疫学調査の磁界測定データを利用した磁界レベル別曝露人口分布の推定
はじめに
生活環境中の商用周波数磁界と小児白血病のリスクとの関連を示唆しているこれまでの疫学調査においては、磁界への曝露レベルとして、基本的に家屋内、とくに小児の部屋(寝室)、の磁界レベル(background levelと呼ばれている)が対象とされている。
したがって、磁界レベル別曝露人口分布を調べる場合にも、小児の部屋の磁界レベルを曝露指標とするのが最も適切であろうと考えられる。
環境因子への曝露評価には一般に携帯用の個人曝露モニターを用いて実際の曝露レベルが測定される場合も多いが、磁界への曝露についても、実際の個人曝露レベルは、電気機器等の近傍において曝露される様々な一過性の高レベル磁界を反映するため、長期の曝露状態を評価するには安定した曝露指標とは言えない。
本研究では、全国規模で実施した小児がんの疫学調査(1999.4-2002.3)で対象とした対照者における1週間の子供の寝室にける磁界測定データ(この平均値を、ここでは「寝室の磁界レベル」と呼ぶ)について、その他の部屋でのスポット測定データ、家屋外でのスポット測定データとの比較なども加えて基本的解析を行い、わが国における曝露磁界レベル(background level)別の人口分布の推定やその特徴について検討することにした。
なお、今後必要となるであろうより詳細な曝露人口推計のため、単純に1週間の平均磁界レベルの分布を見るだけでなく、1週間内の磁界レベルの変動パターンや発生源との関係、季節変動、また、とくに近傍に高圧送電線がある場合の高圧送電線の電圧規格との関連などの基本的特徴についても解析した。
対象と方法
1) 対象者
上記疫学調査で解析対象となった対照児(0-15才)は703名(小児児白血病の対照603と小児脳腫瘍の対照100)であったが、ここでは、マッチングさせた解析では除外されていた者も含め、計776名を対象とした。
全対象776名は男458と女318であり、平均年齢は6.6(SD:4.0)才であった。
また、居住地域の商用周波数別では50Hzが363と60Hzが413であった。
(注意)対象とした疫学調査の対照者は、症例児の性・年齢分布を反映している。
また、抽出地域は189都府県のキヤッチメントエリアに限定されており、全国の完全なランダムサンプルではない。