化学物質の環境リスクの低減6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・4.重点的取組事項
(1)各主体に期待される役割
主体毎に次のような役割が期待されます。
【事業者】
化学物質の製造、輸入、販売、使用、廃棄等を行う際に、関係法令を遵守するだけでなく、自主的な化学物質の環境リスクの評価・管理、情報提供、地域住民との対話等に取り組むことが期待されます。
【国民】
入手可能な情報を的確に理解し、自らの生活で使用する化学物質に関する環境への負荷の低減に取り組むことが期待されます。
【国及び地方公共団体】
人材育成、社会資本整備や各種の支援策を通じて事業者・国民の取り組みの基盤を整備するとともに、環境リスク低減のための制度の構築・運用に取り組みます。

(2)科学的な環境リスク評価の推進
平成20年(2008年)の目標年度に向けて、既存化学物質の安全性情報を
収集・発信する官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム(通称JAPANチャレンジプログラム)を推進します。

平成20年4月以降に進捗状況及び成果を踏まえ、同プログラムの中間評価を行います。

また持続可能な開発に関する世界首脳会議における目標を踏まえ、平成32年(2020年)までに有害化学物質によるリスクの最小化を図るべく、構造活性相関等の簡易・迅速な化学物質の安全性評価手法を開発し、人の健康及び生態系に与える影響について科学的知見に基づき評価を行い、適切な管理を促進します。
規制や事業者による自主管理等の対策の有効性評価に資するため、大気、水質、底質、土壌及び生物のモニタリングを進めます。

その際、代表的な地点での測定によるスクリーニングから、一般環境や発生源周辺等の濃度分布を経時的に把握するための環境監視等、多段階のモニタリングを必要に応じて計画的に進めます。
また、個人情報の保護、試料提供に係る倫理面等に十分配慮しながら、生体試料中の化学物質残留状況を調査します。

遡及的な環境分析ができるよう、試料の長期保存を進めます。
暴露の把握に必要な製造量、使用量、用途等に関する情報は、現状では一部の物質について収集されているのみですが、暴露量が多いと見込まれる物質の環境リスク評価に必要な情報を把握することができる方策を検討します。

化学物質の製造・使用から、リサイクル、廃棄後の環境への排出、土壌や底質への蓄積も含め、人や動植物への暴露を引き起こす過程(暴露シナリオ)に応じた暴露量の推計手法を整備し、上記の環境モニタリング結果と合わせて、暴露評価を進めます。
重要な環境への排出源、排出経路が見落とされないよう、2020年までに、主要な化学物質の製造・輸入から使用・消費・廃棄に至るまでのトータルな流れを把握します。
有害性及び暴露に関する情報を、秘密情報の保護に留意しながら関係者間で幅広く共有し、環境リスクの評価に役立てます。

環境リスク評価は、不確実な部分も念頭においたスクリーニング評価に始まり、必要に応じ、リスク管理を視野に入れつつ詳細なリスク評価を行います。
リスク評価を進めるための手法の開発を行います。

まず、化学物質による生態系への影響について、水域のみならず、陸域等も含めた生態系の望ましい保全の在り方について検討を進め、天然由来の化学物質も考慮して、評価方法を開発します。

また、生態系への影響を早期に発見するため、野生生物の観察等の取組を進めます。
化学物質による人の健康への影響について、評価手法が確立していない免疫系や神経系への影響、内分泌かく乱作用を通じた影響等のさまざまな有害性を評価するための手法の開発を進めます。

また、複数の化学物質による低濃度暴露の総合的な影響、同一化学物質の多媒体経由の暴露による影響、妊婦や胎児等の感受性の高い集団への影響、発生源周辺等の暴露量の高い集団への影響等、評価手法が確立していない分野について、評価手法の開発のための研究を進めます。

中長期的には、評価手法が確立した分野についての評価をリスク評価・管理に統合します。
現在の有害性評価手法・測定技術では十分把握できないリスクを特定し解明するための調査研究、トキシコゲノミクス(化学物質による遺伝子レベルでの毒性発現メカニズムの解明や毒性予測を行う方法)等の新たな手法を用いた効率的な有害性評価手法の開発を推進します。