・6)国際的な課題に対する我が国からの情報発信
近年、化学物質対策は国際的な要素が強くなっています。東アジア地域等の中進国では化学物質の製造・使用量が急激に増加しており、適切な化学物質管理手法を確立することが急務となっています。また、国際貿易を通じて世界経済が一体化していく中で、他国における化学物質規制が、化学物質やそれを含む製品を輸出する我が国に及ぼす影響が大きくなってきています。例えば、欧州における製品中の有害物質規制や、事業者による化学物質の安全性評価の義務化等の検討が、我が国の企業の化学物質管理にも大きな影響を与えるようになっています。
さらに、地球規模での、又は国境を越える問題の解決に向け、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約等、国際的な対策の枠組みの整備が進んでいます。
また、化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)の導入も国際的に合意されています。
こうしたグローバル化の流れの中で、他国の動向に受動的に対応するだけでなく、我が国の化学物質管理制度、事業者や国民の取組等の情報発信を積極的に行うとともに、共通の課題への国際協調の下での対応を通じ、国際的な調和が図られた化学物質管理の確立に向けて、国際貢献を進める必要があります。
2.中長期的な目標
以上のような背景を踏まえ、2025年頃の社会において以下の事項が達成さ
れることを目標として、各種の取組を進めていきます。
○ 化学物質の環境リスクの最小化が図られていることが確認できるよう、主要な物質の有害性・暴露に関する必要な知見が、秘密情報に留意しつつ、化学物質のライフサイクルを通じてできる限り共有され、その情報に基づいて科学的な手法で環境リスクが評価されていること。
○ 長期間にわたる極めて深刻な影響又は不可逆的な影響が懸念される問題については、完全な科学的確実性が欠如していることを対策を延期する理由とはしないとする予防的取組方法の考え方に従って、必要に応じて機動的に対
応し、迅速にリスク評価を実施して、その結果が適切に対策に反映されてい
ること。
○ 消費者、事業者、民間団体、行政等の様々な主体が、化学物質の環境リスクについての理解を深め、自らの役割を自覚しながら、リスク低減のための行動を取っていること。
○ 化学物質管理に関する国際協調が進み、事業者の技術開発インセンティブがさらに高まっていること。
また、我が国が化学物質の安全性の確保のための国際的な取組に多大な貢献を行っていること。