・・アメリカ
カリフォルニアで2072 人をサンプルに電話調査を実施したところ、電線、コンピューター、電気製品などの電磁場発生源に非常に敏感か、アレルギーがあ
ると答えたのは3.2%だった(レヴァロイスら、2002 年)。
アメリカ政府の機関でバリアフリー問題を担当する「建築交通バリア・コンプライアンス委員会」は、2002 年、「多種化学物質過敏症と電磁波過敏症は、主な生活活動の一つ以上を十分に制限する機能や、神経学的に、呼吸器やその他の機能を大変重篤に害しているなら、アメリカ障害者法(ADA)の下、障害として見なされるであろう」と認めている(“Federal Register” Vol.67,No.170)。
同委員会は過敏症の人々の「必要性を綿密に調べ、これらの人々のアクセシ
ビリティ問題に取り組む」とも述べている。
同委員会からの資金提供を受けて、米国立建築科学研究所(NIBS)は、多種
化学物質過敏症電磁波過敏症の人のために、屋内環境品質(IEQ)を改善する研究を行った。
このプロジェクトには多種類化学物質過敏症や電磁波過敏症の団体の代表、屋内環境品質の専門家、建築産業の代表などが加わっている
(http:wwww.accsess-board.gov/news/ieq.htm)。
同プロジェクトの報告書『屋内環境品質(Indoor Environmental Quality)』(2005 年)では、電磁波過敏症や化学物質過敏症など環境因子に反応する人
のために、商業ビルと公的ビルに、発症者が利用可能な「クリーンエア・ルー
ム」を設けることを勧告し、「化学物質過敏症やぜんそく、その他の呼吸器疾患などの空気で運ばれる汚染物質によって有害な影響を受ける人や、電磁波過敏症などの電気設備や施設からの電磁場によって有害な影響を受ける人に、もっと利用可能でアクセス可能な移動経路や設備、部屋を確認するために使われる基準」をつくった。
その基準は、「禁煙、香料がない、殺虫剤が無い(屋内と屋外)、毒性・リスクのある掃除用品が最も少ない、カーペット搬入を含む改装や建設を最近して
いない、携帯電話の電源オフ、コンピューターやその他の電気設備の電源を切るかプラグを抜くことができること、蛍光灯を切ることができること」などだ。
「建物の入り口からクリーンエア・ルームへの移動経路は、できるだけ短く
すること」「携帯電話は移動経路とトイレで電源を切るべきだ」とも明記された。
報告書には「このIEQ プロジェクトは『私たちの中で最も傷つきやすい、とくに子どもたちのために、より安全な屋内環境をつくることで、全ての人にとってより健康的な屋内環境を造る』ことを認める『健康的な建物、健康的な人々計画』のゴールに達することを助け、支援する」とある。環境因子の影響を受けやすい子どもたちを守るためにも、屋内環境の改善が重視されているのだ。
また、「プロジェクトの焦点は、商業ビルと公的ビルだが、勧告を与えられ扱
われた問題の多くは、住宅環境で適用される」と書かれ、生活環境全般での
適用を目指している。