・ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議より
http://www.kokumin-kaigi.org/kokumin01.html
http://www.kokumin-kaigi.org/kokumin03_42_03.html
講師:古川俊治氏(慶応義塾大学教授) 青山和子氏(環境健康学トランスレーター)
●医師として、弁護士としての専門家のお話(古川俊治氏)
1 化学物質による疾患の概念
現在、化学物質過敏症(Chemical Sensitivity。以下、CS)といわれる病態は、狭義のいわゆるシックハウス症候群と、多種化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity。以下、MCS)の二つに大別されています(ただし、狭義のシックハウス症候群からMCSに進行することは多いです)。
狭義のシックハウス症候群とは、主として建材に含まれる特定化学物質への慢性曝露を原因として、一定耐用量(閾値)を超える特定化学物質に再接触することにより発症する症状を指し、発生の機序についても一応の定説があります(個々人の肝臓の解毒機能を超えるのが原因。
同一汚染環境でも発症に個人差があることも説明できます)。
これに対して、MCSは、特定または多種の化学物質への急性または慢性暴露を原因として、低濃度の多種の化学物質に再接触することによって発症する症状を指します。
ひとたび暴露すると、多種のしかもわずかな化学物質との再接触でも発症するため、被害は深刻となります。
病態に関する科学的根拠はいまだ不十分で、発生機序は仮説段階です(アレルゲンは、特定の受容体にしかつかないため、アレルギーのような機序では説明がつかない)。
そのため、狭義のシックハウスは、一定程度疾患として認められているものの、MCSは、疾患概念としては認められていないのが現状です。
しかし、現象としては、「switch現象(時間経過とともに症状が変化)」「spreading現象(症状の拡大)」「両極現象(汚染化学物質からの離脱時にも症状が出現)」が認められ、また、一般に化学物質の臭気に対する過敏性も認められます(大脳辺縁系異常ではないかとの仮説があります)。
なお、臨床検査としては、
q電子瞳孔径検査、
w眼球運動、
eコントラスト検査等が、治療法としては、原因物質からの隔離、生活指導や軽い運動ビタミンの投与による身体状況の改善と有害物質の排出が考えられています。