3 有訴者全体と対照者との比較
・有訴者 対照者
現在アレルギー症状 75.2%(209人) 38.8%
ライフスタイル 運動不足・睡眠不足
喫煙環境(本人家族も吸わない) 68.3% 55.8%
有訴者喫煙暦なし 90.0%
飲酒状況(飲まないか殆ど飲まない) 86.3% 62.4%
飲まない 60.0%以上 21.8%
4 医師による診断の有無と診断地域
①本症の診断をする病院不足
本症、またはその疑いがあると医師から診断された有訴者が約53%で、一方診断を受けていない人も多い。
関東地方には、本症を診断することで知られている病院・診療所は5カ所あるが、関東以外ではまだ数が少ないことが一因と考えられる。
②本症の知識の普及と適切な診断・治療のできる医師不足
③診断・治療・治療手順
診断基準を決めて治療
比較的長い治療を要す
治療手順
1 化学物質からの隔離
2 身体状況の改善
3 体内からの毒素物質排出
④有訴者は早期に効果的治療を受け、有訴者自身が適切な健康管理を行う 5 化学物質過敏症被害低減のまとめ
①有訴者は40代から50代の女性が多く、約半数の有訴者の被害年数は4年より長い。
ゆえに本証の診断・治療ができる医師の増加や、それらの知識の普及が必要。
②本症を自覚した以前は過半数の有訴者は本症について知らなかったことから、本症に関する知識が原因で発症した可能性は低い。
③有訴者が答えた発症原因は、建物の新築・改築・塗装等が4割。
その他、家庭用殺虫剤等の使用、職業暴露、大気汚染、農薬類の使用、医薬品の副作用、洗剤、化粧品類の使用、タバコの煙の暴露等多種多様。
④有訴者は対照者よりアレルギー症状のある人の割合が高いので、アレルギー体質の人は本症になる確率が高いと考えられる。
しかし、アレルギー症状のない有訴者がいること、対照者でもアレルギー症状のある人が4割弱いるので、本症はアレルギー症状と区別して扱う必要がある。
⑤有訴者は対照者と比較して不適切な生活を送っていない。
有訴者のライフスタイルが原因で症状が改善していないとはいえない。
⑥本症に対応できる病院・診療所がない地域に住んでいる有訴者は、診断を受けていない人が比較的多く、本症の診断・治療をする病院・診療所の全国への拡充が望まれる。