・携帯電話の電磁波が身体に悪影響を及ぼすリスク
電磁波が身体に及ぼすと考えられる影響には、刺激作用、熱作用、非熱作用の3つがあります。
刺激作用
身体に電流が流れると、ピリピリと感じます。周波数が低い低周波電磁波の特徴で、高周波電磁波からの刺激作用はありません。
しかし電磁波過敏症などに起こる症状です。
携帯電話などの電磁波はパルス変調高周波電磁波で、この電磁波の影響の可能性が指摘されています。
熱作用
熱作用とは、高周波電磁波照射によって物体が温まる作用のことです。
この作用を応用したものとして、電子レンジ(使用周波数:2.45GHz)があります。高周波電磁波を人体にあてると、熱作用によって健康被害を及ぼす可能性があります。
高周波電磁波の特性は、身体にあたると反射、吸収、透過します。当然人体に当たると、高周波電磁波の一部は身体に吸収され、その一部の電磁波のエネルギーは熱となり、人体の体温を微量でも上昇させます。この温度上昇によって起きる生体作用を熱作用と言います。
携帯電話を長く使用した時に耳や頭の周辺がぼーっと暖かく感じることがあるのは熱作用と推測されます。
体温が1~2℃程度上昇するだけでも、人体に大きな影響を与えるということは多くの動物実験から証明されています。
特に、身体の一部で血管が少ない部分(脳、眼や内耳などの感覚器官や生殖器)は、熱拡散が難しいので特に熱の影響を受けやすく、細胞が害を受けやすいと考えられます。
高強度の高周波電磁波には、電子レンジと同様に熱を生じるため生体に影響を与える可能性があります。
この理由から、携帯電話などの無線機器などでは、人体の電力比吸収率(SAR:Specific Absorption Rate、単位:[W/kg])を用いた規定値が施行されており、日本でも総務省が電波防護指針を設定し、携帯電話のSARが「2W/kg」の許容値を満たすことが義務づけられました(これは携帯電話の熱作用による健康被害を防止するため、法律で電磁波によって吸収されるエネルギーが基準を超えないように定めています)。
各国のSAR規定値は:0.16W/kg (米国※1と韓国※1)、0.6 W/kg(スウェーデンTCO基準))、(日本と比べ、米国と韓国が厳しい)。
※1.日本での評価基準に調整した規定値
非熱作用
下記の非熱作用の影響が危惧されています。
・遺伝子損傷による、突然変異細胞出現やガン発症
・循環器系への影響で血圧上昇
・神経系への影響で、神経系疾患、頭痛、脳腫瘍など発症、学習能力の欠損、睡眠への影響
・ホルモン系への影響(脳の奥にある松果体からのメラトニンやセロトニンなどの減少)で免疫の低下、アルツハイマー型認知症の発症、睡眠への影響、うつ病、ガン発症
・脳細胞からカルシウム・イオンが漏洩し、骨粗鬆(こつそしょう)症
・生殖機能への影響など
倦怠感 疲労感、イライラする、集中力の欠如
発汗:冷や汗
「(非熱作用の説明のみ:誰でもわかる電磁波問題:大久保貞利 著より)
電磁波の人体への影響は、①刺激作用②熱作用③非熱作用の三種類。そのなかの非熱作用とは、①②をひきおこさない、きわめて低いレベルの電磁波で細胞からカルシウムイオンが流出したり、ホルモン分泌を抑制したり染色体異常をひきおこす場合があり、これがガンや白血病の原因ではないかといわれている。」