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症状 [編集]
症状は数多く、特定の症状が決まって起こるということはない。アジアでは視力障害が初発となることが多い。
経過中に多く見られるのは運動麻痺、感覚障害、深部反射亢進、視力障害、病的反射などである。
欧米では失調症や企図振戦が多いが、アジアではそれほど多くない。
運動麻痺
感覚障害
深部反射亢進
視力障害
視野障害
病的反射
括約筋障害
視神経萎縮
失調症
企図振戦
眼筋麻痺
嚥下困難
疲労
職業と現れる症状によっては、その後の社会生活復帰に大きな影響が出ることがある。
大都市圏以外では専門医が絶対的に不足しており、本症に精通した医師の育成も大きな課題である。
検査 [編集]
髄液検査
髄液中で免疫グロブリンが増加する。等電点電気泳動法により髄液を泳動し、IgGを免疫染色すると、オリゴクローナルバンドと呼ばれるバンドが出現する。通常型の多発性硬化症の60 - 70%で陽性となるが、特異性は低い。
MRI
90%以上の症例で、MRI検査結果に異常が見られる。頭部MRIで特に脳室周囲に病変が発見されることが多い。
なお、その際に病変部がリング状に強調され、あたかも膠芽腫のように見えることがある。
脳室側に強調の欠損が認められること、脳の圧排が認められないことなどから鑑別は可能である。
血液検査
軽度の白血球増加が見られることもある。
経過 [編集]
再発と寛解を繰り返すことが特徴であるが、その経過を取るのは約85%で、約15%では慢性に進行していく。
また、再発と寛解を繰り返しながらも徐々に寛解時の状態が悪化していく(二次進行型と呼ばれる)ことも多い。
再発の頻度は年1回程度である。
生命予後はあまり悪くなく、健常人とほとんど変わりない。
しかし機能予後については現在も良好とは言えず、運動機能が低下して車椅子での生活となることも多い。
治療 [編集]
再発抑制
インターフェロンβを皮下注射することで再発率を約30%減少させられることがわかっている。
急性増悪期
ステロイドを点滴静注する。軽度であれば経口投与する。
現在研究中の治療
骨髄移植が治療として有望視されている。
カナビスの主要活性成分であるテトラヒドロカンナビノールが進行を遅くする事を示唆する研究結果が得られたため、現在イギリス・プリモスのペニンスラ医科大学で493人の被験者に対し臨床試験が行われている。[1]
アメリカのかなりの数の州、カナダ、オランダなどではすでに多発性硬化症患者が医療大麻を使用することが合法になっている。
フィクションにおける多発性硬化症 [編集]
アメリカドラマ「ザ・ホワイトハウス」のバートレット大統領が多発性硬化症の持病を隠して選挙戦を戦い大統領に選ばれ、一期の途中に持病を生放送のテレビ番組で告白しスキャンダルとなる。
アメリカ国民が抱いていた多発性硬化症という病気についての誤解や偏見を解いたドラマとして評価されている。
多発性硬化症を持つ有名人 [編集]
林家こん平
リチャード・プライヤー
ジャクリーヌ・デュ・プレ
関連項目 [編集]
特定疾患
神経学
自己免疫疾患
外部リンク [編集]
難病情報センター - 特定疾患情報、多発性硬化症
東北大学多発性硬化症治療学寄附講座 - 研究情報
宇多野病院 - 多発性硬化症センター (MSセンター)
(百科事典)「Multiple Sclerosis」 - Medpediaにある「多発性硬化症」についての項目。(英語)
カナビススタディハウス - アメリカなどにおける医療カナビス(大麻)法の対応疾患
YouTube - アメリカにおける医療大麻の実態
カテゴリ: 特定疾患 | 脳神経疾患 | 免疫病