・4. この病気の原因はわかっているのですか
核遺伝子の変異によって起こるミトコンドリア病もまれにありますが、大部分のミトコンドリア病はミトコンドリア遺伝子の変異が原因です。
ミトコンドリア病の原因となるミトコンドリアDNAの変異は、大きく分けて、ミトコンドリアDNAの中の遺伝子の連なり方が異常になった再配置と、ミトコンドリアDNAの1個所の正常な塩基が異常な塩基によって置き換わった塩基置換あるいは点突然変異に分類することができます。
再配置はさらに挿入と欠失に分けられます。
挿入とは、一揃いの遺伝子(ミトコンドリアゲノム)の中に、別のミトコンドリア遺伝子の断片(多くの場合には数千塩基対の長さ)が割り込んでしまった状態を言います。
正常の遺伝子が分断されてしまうために、遺伝子の機能が失われ、細胞が呼吸によってエネルギーを得ることができなくなってしまいます。
欠失(けっしつ)とは、ミトコンドリアゲノムの一部分が欠けてしまった状態をいいます。
多くの場合には、数千塩基対の長さのDNAが失われていますので、複数の蛋白質を作りだすための遺伝子や、トランスファーRNA遺伝子がなくなっていますので、ミトコンドリアの中で、これらの呼吸機能を果たす酵素が作られなくなり、細胞がエネルギー不足に陥ります。
点突然変異はどの遺伝子に生じるかによって、その結果が少しずつ異なります。
蛋白質を規定する遺伝子に点突然変異が生じた場合には、その蛋白質の機能、例えばATPを合成する働きが失われて、細胞がエネルギー不足になります。
トランスファーRNA遺伝子に点突然変異が生じた場合には、ミトコンドリアの中での蛋白質の合成が低下し、呼吸鎖を構成する酵素の機能が悪くなって、細胞がエネルギー不足に陥ります。
22種のトランスファーRNA遺伝子のうち、どの遺伝子に変異が起きたかによって、どの臓器・組織に異常が生じるか、どんな症状を表すかがほぼ決まっています。