・難病情報センターより
1. 拘束型心筋症とは
2006年にアメリカ心臓病協会(AHA)の新分類によると、心筋症は主な病変が心臓にあるものを原発性心筋症、全身疾患の心筋病変を二次性心筋症と大別されました。
さらに、原発性心筋症は遺伝性、後天性およびその混合型と細分され、拘束型心筋症は混合型に分類さています。
拘束型心筋症では、心室の拡張や肥大はなく心筋の収縮力も正常であるのに、心室が硬くて拡がりにくい状態(拡張不全)になっているのが特徴的です。新しい分類によると特発性拘束型心筋症のみがこの疾患に分類されますが、従来は様々な病気に伴って(表の特発性を除く)発症することもあります。
表 拘束型心筋症の分類
心筋の障害 心内膜心筋の障害
非浸潤性
・特発性
・強皮症
浸潤性
・アミロイドーシス
・サルコイドーシス
・Gaucher 病
・Hurler 病
蓄積症
・ヘモクロマトーシス
・Fabry 病
・グリコーゲン病
心内膜心筋線維症
好酸球増多性心疾患
カルチノイド
悪性腫瘍の転移
放射線照射
アントラサイクリン系薬剤の副作用
*特発性以外の本症はまとめて二次性拘束型心筋症と呼ぶ。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
これまで拘束型心筋症に関する疫学的調査は少なく正確な頻度(有病率・罹患率)は不明ですが、日本や欧米先進国では、この病気は拡張型心筋症や肥大型心筋症よりもはるかに少ないと考えられます。
原因不明の特発性拘束型心筋症はとくに稀で、原因が判明している二次性拘束型心筋症の頻度は、原因により異なると考えられます。
3. この病気はどのような人に多いのですか
拘束型心筋症患者に関する男女比、発症年齢などの詳細はなお不明です。
原因不明の特発性拘束型心筋症についての若干の報告をまとめると、男女比はほぼ1:1、平均発症年齢は30歳後半です。
4. この病気の原因はわかっているのですか
原因不明(特発性)の場合はもとより、他の病気(表)に伴って発症する場合つまり二次性拘束型心筋症でも発病の機序はしばしば不明です。