・wikipediaより
もやもや病(もやもやびょう、英称:moyamoya disease)は、脳底部に異常血管網がみられる脳血管障害。
脳血管造影の画像において、異常血管網が煙草の煙のようにモヤモヤして見えることから[1]、日本人研究者により「もやもや病」と命名された。
日本でのかつての正式名称は、ウィリス動脈輪閉塞症(ウィリスどうみゃくりんへいそくしょう)。
定義(概念) [編集]
典型的には、脳血管造影で以下の所見を呈するものをいう。
内頸動脈終末部、前・中大脳動脈近位部の狭窄または閉塞がある
狭窄または閉塞部分より末梢側に異常血管網が発達している
このような現象が両側性に見られる
症状・病態 [編集]
脳の動脈に狭窄があると、当該血管支配領域の脳は血液不足(虚血)に陥る。
そこで代償的に新たな血管(もやもや血管)が構築される。しかしこれらの血管は細く、脳虚血・または脳出血に起因する種々の発作の原因となる。
虚血の発作は過換気が原因で起こる。
過換気状態になると血液中の二酸化炭素分圧が低下する。
二酸化炭素は血管を拡張させる働きがあるので、これが減少すると血管が収縮する。
すると、元々細い異常血管網(もやもや血管)はさらに収縮を起こして脳に送るべき酸素の供給が不足する状態になる。
こうして失神や脱力発作が起こる。典型的な過換気状態は、熱い蕎麦やラーメンなどを冷ます「吹き冷まし」行為や、啼泣、リコーダーやピアニカなどの吹奏楽器演奏時など、必要以上の呼吸を伴う動作で発生するため、注意を要する。また、成人発症例では動脈硬化が関与して狭窄を引き起こすものと考えられている。
一方出血の発作は、脳の血液需要に応じるための大量の血液を送る血管(もやもや血管)が細いために破綻するものと考えられている。
成人発症例に多い。
出血箇所が悪い場合、致命傷となる。 また、成人に近い成長期に出血すると脳全体に脳浮腫(加速的な腫れ)を発症し、多くの場合、助からない。 最も留意すべきは補助的に作られた即席・もやもや血管は壁が薄く破れやすい所にある。
本疾患は原則両側性に起こるが、その程度は様々である。一方の内頸動脈の狭窄は重度であるがもう一方は極めて軽度であるということもある。
以下に小児と成人の初発症状で多いものを示す。
小児例 [編集]
反復性の頭痛
脱力発作
痙攣
失神
成人例 [編集]
脳出血
片麻痺
頭痛
意識障害
合併症 [編集]
小児例では知能障害、成人例では脳出血
原因 [編集]
発見から数十年が経っているにも関わらず、未だ原因は断定されていない。
まずウィリス動脈輪部の閉塞が徐々に起き、虚血を補うために側副血行路として異常血管網が形成されるというのが有力な説である(注:ウィリス動脈輪部の閉塞が一気に起きた場合は脳梗塞になる)。
一方で、家族性発症も10~15%あることが知られており、遺伝が関与することが示唆されている。実際3番、6番、17番の染色体に高い連鎖のあることが知られているが、原因遺伝子の解明までには至っていない。
統計 [編集]
年間発症率は10万人あたり0.35人と推定されている。男女比は1:1.7、好発年齢は5歳と30~40歳の2峰性を示す。
疫学 [編集]
アジアに多い疾患であり、中でも日本が最も患者数が多い。
予防 [編集]
原因が不明である以上一次予防は不可能であり、合併症を防ぐための二次予防と三次予防が重要となる。