パーキンソン病 5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・MAO-B阻害薬 [編集]
選択的不可逆的モノアミン酸化酵素B (MAO-B) 阻害薬である。

中枢内に多く存在し、ドーパミンの代謝経路として働くMAO-Bを選択的に阻害することで、ドーパミン濃度を高める働きがある。

セレギリン(商品名エフピー)が現在使用されている唯一のMAO-B阻害薬である。

セレギリンは治療量内ではMAO-Bに対して選択的に働くが、高用量になるとMAO-AおよびMAO-Bに対して非選択的に阻害してしまうので注意が必要である。

また、進行期パーキンソン病の運動合併症であるジスキネジアの発現を増強するため、ジスキネジアが出現した場合には投与を中止する。

セレギリンは神経保護作用もあるといわれているが、その効果については報告によって違いが見られ、議論が分かれている。COMT阻害薬と異なり、MAO-B阻害薬単独でも効果はあるといわれているが、日本ではL-ドーパとの併用のみが認められている。

セレギリンは代謝されアンフェタミン、メタンフェタミンが産出され、覚醒方向に働き不安、不眠の副作用が生じることがあり夕の内服は避けられる傾向がある。

ウェアリングオフやすくみ足といった他の抗パーキンソン病薬では効果が低い症状に有効である。しかしピークドーズジスキネジアは出現しやすいくなる。そのため早期パーキンソン病ではレボドパの開始と同時期に開始し、病気の進行を遅らせたり後期パーキンソン病で幻覚や認知症のない例でウェアリングオフが認められジスキネジアが認められない例で用いられる場合が多い。メペリジン、三環系抗うつ薬、SSRIとは急性の中毒性相互作用(セロトニン症候群)が知られている。

また血圧を下げる作用があるため起立性低血圧が認められる場合は増悪する可能性がある。またMIBGシンチグラフィーの検査に影響を与えることが知られている。

COMT阻害薬 [編集]
中枢外に存在するドーパミン代謝経路の酵素であるカテコール-O-メチル基転移酵素 (COMT) を阻害する薬剤である。

末梢でのL-ドーパ分解を抑制して中枢への移行性を高めるための薬剤であり、L-ドーパとの併用のみで用いられる。

エンタカポン(商品名コムタン)およびトルカポンが開発されているが、トルカポンは致死的な肝障害の副作用が見られたため、現在米国以外では使用されていない。日本ではエンタカポンが2007年1月に承認されている。

ウェアリングオフ現象の改善に有効であるが、ジスキネジア、精神症状の増悪が認められることがある。

抗コリン薬 [編集]
アセチルコリン受容体のうち、ムスカリン受容体をブロックする薬剤である。最も古くから使用されている抗パーキンソン病薬であり、19世紀から天然アルカロイドが用いられていた。

1949年に合成薬トリヘキシフェニジル(商品名アーテンなど)が開発されて以来、様々な薬剤が使われている。

主な抗コリン薬としては他にビペリデン(商品名アキネトンなど)、プロフェナミン(商品名パーキン)、メチキセン(商品名コリンホール)などがある。2002年のガイドラインではあくまで補助的な薬物として位置づけられている。

前立腺肥大、緑内障の患者では禁忌であり、幻覚、妄想、せん妄、認知症の悪化という副作用も認められるため認知症が認められる患者や高齢者ではあまり用いられない。少量から開始し、中止する場合もゆっくりと減量をする。


ノルアドレナリン作動薬 [編集]
ドロキシドパは日本で開発されたノルアドレナリンの非生理的な前駆物質である。

進行期パーキンソン病のすくみ足や姿勢維持障害に効果があるといわれている。また起立性低血圧にも効果がある。


抗ヒスタミン薬 [編集]
フェノチアジン系であるプロメタジン(商品名ピレチア)はパーキンソン病の振戦の緩和作用が知られている。

鎮静作用が強く不眠改善も期待できる。


非運動症状に対する治療薬 [編集]
自律神経症状や精神症状に対しては、それぞれの症状に対する治療薬を用いる。

抗精神病薬は、フェノチアジン系やブチロフェノン系などの定型抗精神病薬にパーキンソニズムを誘発する副作用があるためほとんど用いられない。現在推奨されているのは、クロザピン、クエチアピン、オランザピン、リスペリドンなどの非定型抗精神病薬である。


レボドパ長期内服で生じる運動障害の対応 [編集]

ウェアリングオフ [編集]
レポドパ製剤の半減期は60~90分であるが早期パーキンソン病ではその効果が切れることを体感することはほとんどない。

しかし進行期パーキンソン病では次の内服時間の前に運動障害が悪化するウェアリングオフが認められることがある。

この場合は症状日誌やMASAC-PD31で症状の変動、オフ期の有無を評価する。

そしてジスキネジアが増悪しないように内服調節を行う。具体的には、オフの時間帯に合わせてレボドパを追加する、COMT阻害薬を追加する、ドパミンアゴニストを追加、変更、増量しオフ時状態の改善(底上げ)を行う、MAO-B阻害薬を追加するといった方法がある。

内服調節でコントロールが困難な場合は脳深部刺激療法も考慮する。

不随意運動 [編集]
振戦以外にパーキンソン病治療薬によって不随意運動が生じることがある。

ジスキネジアが一般的であるが、ジストニア、バリズムが起こることも知られている。

レボドパの血中濃度が最大の時に生じるピークドーズジスキネジア、急激な濃度変化でおこる二相性ジスキネジア、薬効が切れた時に生じるオフジストニアがよく知られている。内服調節で改善することもあるが治療は難渋する場合が多い。

定位脳手術が施行されることもある。

外科療法 [編集]

脳の深部に固定された電極。

脳神経外科学領域において視床下核部定位脳手術が著効する例もあるが、侵襲をともなう治療法であるために慎重な適応が必要である。

パーキンソン病に対する外科的アプローチは20世紀前半から行われていた。1950年代に視床VL,Vim核、淡蒼球内節、視床下核破壊術が確立したが、その後これらの部位に電極を埋め込む深部脳刺激術 (Deep brain stimulation therapy, DBS) が開発され、現在はこの方法が一般的である。外科療法の適応となるのは、L-ドーパによる治療効果があり、治療が十分に行われたがADL(日常生活で行う活動)に障害をきたしている場合である。ただし認知障害があったり著しい精神症状がある場合、重篤な全身疾患がある場合には適応除外となる。年齢による適応の制限はない。

症状 視床(Vm核、VL核) 淡蒼球内節 背側視床後部、不確帯尾側部 視床下核
振戦 著効 効果あり 著効 効果あり
筋固縮 著効 著効 著効 著効
無動 効果少ない 著効 著効 著効
歩行障害 効果少ない 効果あり? 著効? 著効?
レボドパの原料 効果少ない 効果あり 効果あり 著効
ジスキネジア 効果少ない 著効 効果あり 時に悪化
語想起障害 左で出現 左で出現 ? 出現
ドパミン調節異常症候群 影響なし 稀に悪化 影響なし 時に悪化