wikipediaより
酢酸エチル(さくさんエチル、ethyl acetate)とは、示性式 CH3CO2C2H5 で表される有機化合物である。酢酸とエタノールが脱水縮合したエステル。引火点 -2 ℃の果実臭のする無色の液体で、有機溶媒として用いられる。
極性が高く、最大で 3重量% ほど酢酸エチルに水が溶解する。逆に水に対しては 10体積%(25℃)ほど溶解し温度が低いほど増大する。また、エタノール、エーテル、ベンゼン、ヘキサンなどのほとんどの有機溶媒と任意の割合で混ざり合う。
日本では消防法により危険物第4類引火性液体(第一石油類 非水溶性液体)に、また毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。
反応性 [編集]
湿気(水分)を含むものは徐々に加水分解し、酸が存在すると加速する。アルカリ水溶液中ではけん化により加水分解する。酸触媒の場合は平衡反応であるため可逆であるが、アルカリ触媒の場合は加水分解のみが進行する。
合成法 [編集]
工業的な合成法としては以下の3つの方法が挙げられる。
Fisherエステル化
酢酸エチルは低沸点であることから、硫酸を酸触媒として酢酸とエタノール(=エチルアルコール)とを加熱して脱水縮合させ、生成する酢酸エチルを連続的に蒸留で取り出すことで効率よく合成することができる。
融点 -83.6 ℃ (189.55 K)
沸点 77.1 ℃ (350.25 K)
国際化学物質安全性カードより
物理的状態; 外観:
特徴的な臭気のある、無色の液体
物理的危険性:
この蒸気は空気より重く、地面あるいは床に沿って移動することがある;遠距離引火の可能性がある。
化学的危険性:
加熱すると、激しく燃焼または爆発することがある。紫外線、酸、塩基の影響下で分解する。 強力な酸化剤、塩基、または酸と反応する。アルミニウム、プラスチックを侵す。
許容濃度:
TLV:400 ppm(TWA) (ACGIH 2004)
MAK:400 ppm, 1500 mg/m3; Peak limitation category:I(2); Pregnancy risk group:C (DFG 2004) (訳注:詳細は DFG の List of MAK and BAT values を参照)
暴露の経路:
体内への吸収経路:蒸気の吸入
吸入の危険性:
20℃で気化すると、空気が汚染されてやや急速に有害濃度に達することがある。
短期暴露の影響:
眼、気道を刺激する。中枢神経系に影響を与えることがある。 許容濃度を超えて暴露すると、死に至ることがある。
長期または反復暴露の影響:
この液体は皮膚の脱脂を起こす。
物理的性質 ・沸点:77℃
・融点:-84℃
・比重(水=1):0.9
・水への溶解性:非常によく溶ける
・蒸気圧:10 kPa(20℃)
・相対蒸気密度(空気=1):3.0
・引火点:-4℃(C.C.)
・発火温度:427℃
・爆発限界:2.2~11.5 vol%(空気中)
・log Pow (オクタノール/水分配係数):0.73
火災 引火性が高い。
爆発 蒸気/空気の混合気体は爆発性である。
身体への暴露
吸入 咳、めまい、嗜眠、頭痛、吐き気、咽頭痛、意識喪失、脱力感
皮膚 皮膚の乾燥
眼 発赤、痛み