ホッキ貝:やっかい者で空気きれいに 貝殻を壁紙に 勿来工業高生が大活躍 /福島
処分に困り、やっかい者扱いのホッキ貝の殻を、粉状に砕いて2枚の和紙に挟んだ壁紙を作る試みが11日、いわき市遠野町入遠野の同市オートキャンプ場体験小屋であった。実験では、殻はシックハウス症候群を引き起こす化学物質、ホルムアルデヒドの空気中の濃度を下げる効果が認められ、壁紙は製品化にもつながればと期待される。
同市の県立勿来工業高校工業化学科の生徒らが、約4年前から取り組む廃棄物有効利用研究の一つ。ホタテの貝殻がホルムアルデヒドを分解するとの報告に注目し、ホッキ貝で実験。昨年、貝を細かく砕いて加熱した粉を漆喰(しっくい)に混ぜて置くと、周囲のホルムアルデヒド濃度が下がったという。
今回は「伝統産業と結びつけよう」と、遠野和紙2枚の間に貝の粉を層状に挟んで壁紙としたところ、漆喰と同様の効果が確かめられたという。
この日の試作には、3年生3人が参加。和紙作りに携わる「磐城手業(てわざ)の会」の指導で和紙をすくところから始めた。生徒は「和紙をすくのは難しいが、空気がきれいになればうれしい」と話した。池田光治教諭は「福島県沖はホッキ貝のいい漁場だが、廃棄される大量の貝殻は使い道がなく困っていた。作ってみたい人にはデータの提供もできる」と話した。
毎日新聞 2010年6月12日 地方版