あ(3)工事発注時の留意点
① ホルムアルデヒドなどの濃度が基準値以下であることを確認させた上で、建築物
の引き渡しを受ける旨、契約上明確にしましょう。
② 養生・乾燥期間が十分に取れるよう、余裕を持った工期を設定しましょう。
9 また、現場で施工した塗料や接着剤などから放散されるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物の放散
量は、時間とともに低下してきます。よって、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物を放散させるため、
換気の励行に配慮した養生・乾燥期間を十分に確保する必要があります。
養生・乾燥期間については、3週間程度は必要だといわれています。改修や補修工事においては、3週間の養生・乾燥期間を設定することが困難な場合もありますが、綿密な計画を立て対応する必要があります。
さらに、引き渡し前の美装工事(ワックス掛け)や手直し工事(ダメ工事)も含め、適切な工期の設定について考慮が必要です。
・特記仕様書への記載については、できるだけ具体的な内容を明記する必要があります。
・検査費用を請負者の負担とする場合には、その費用についても積算計上する必要があります。
下記のような表現は、検査項目や検査内容などが明確に記述されていないこ
とにより、契約後に混乱を生じる場合があるため、検査の実施方法などについ
ては明確に記載する必要があります。
◆不適切な特記仕様書の例
・学校保健法に基づく「学校環境衛生の基準」を満たしていること
・しゅん功後、検査を実施し、数値が満たない場合は引き渡しを受けない
・有害物質を含まない材料を使用すること
・測定は、監督職員との協議による
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(4)施工監理時の留意点
施工監理時の留意点としては、請負者より提出される施工計画書や施工要領書の記載内容などの確認や設計図書などで指定した建材や施工方法で施工されているかの現場での確認が必要になります。
衢.設計図書などで指定されている建材や施工方法となっていますか。
衫.納入された建材の保管方法は適切ですか。(下位品質のものと同じ場所で保管すると、揮発性有機化合物などを吸着することがあるので注意が必要。)
袁.メーカーの使用規定に基づいた使用方法により施工要領書が作成されていますか。(特に、塗布量、配合比、オープンタイム、可使時間。)
衾.室内空気汚染物質(揮発性有機化合物など)を速やかに排出するための施工中の換気が励行されていますか。(扉や窓を開放して換気・通風を行う。造り付けの家具などの扉もできる限り開放して内部に発生した化学物質を放散させる。など)
袞.材料の保管や材料の練り混ぜ時の通風・換気への配慮がなされていますか。(練り場の空気が他の部屋へ広がることがないように注意する。)
衵.下地の養生や乾燥期間が適正に確保されていますか。
衽.改修工事や補修工事などの場合の工事範囲以外との区画がなされていますか。(揮発した溶剤などが工事範囲外へ流入しないように配慮する。)
袵.手直し工事(ダメ工事)を行う場合、設計図書などで指定されている建材や施工方法となっていますか。(使用する材料を間違えないようにする。また、手直し工事を行った日を記録に残すようにする。)
衲.美装工事(クリーニング)で使用するワックス、洗剤、薬剤などの材質を確認しましょう。(化学物質が発生しない、又は、発生の少ないものを選定する。)
Ⅰ 施工計画書や施工要領書の主な確認事項
衢.設計図書などで指定されている建材や施工方法となっていますか。
衫.品質(表示マーク)の表示を行っている建材については、納入された建材の等級印を確認しましょう。
袁.MSDSにより揮発性有機化合物の有無や含有量を確認しましょう。
Ⅱ 搬入された材料などの主な確認事項
設計図書などで指定した建材や施工方法などとなっているか現場で確認しましょう。
新築や改築、改修などを行った際には、「学校環境衛生の基準」の臨時環境衛生検査の規定に基づき、
ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物の濃度が基準値以下であることを確認した上で引き渡しを受け
る必要があります。