シックハウス症候群診療マニュアル2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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1)シックハウス症候群の概念
①シックビル症候群(SBS)
1980年代にはいる頃から、欧米各地のいわゆる省エネビルにおいて、居住者から目まい、吐き気、頭痛、平衡感覚の失調、眼、鼻、喉の痛み、粘膜や皮膚の乾燥感、ゼイゼイする、喉が渇れるなどの呼吸器系の諸症状等の体の不調を訴える多数の苦情がビルの所有者、国、州などの公共団体に出されるようになってきた(WHO 1982)。この様な問題は、もっとも古くは、1960年代以前にもあったと言われているが(WHO 1982)、本格的に問題とされ始めたのは、やはり、1980年代になってからのことである。これに関しては、いくつかの調査がなされており、例えば、デンマークの1500人の市民(15~67才)を対象とした調査では、15%以上の人に上記の症状のうちのいずれかがみられ(WHO 1982)、北米の200近いビルについて行われた調査では、いずれの建物においても何等かの苦情の訴えがあった(Sterling 1983)とされている。一口にSBSと言っても2つのタイプがある。1つは、急性SBSとも呼ぶべきもので、新、増改築直後に起る。これは、新しく導入した建材等から汚染ガスが発生するため起こるもので(Sterling 1983)、時間と共に解決するものである。もう一つが慢性SBSとも言うべきもので、そのビルの本質的な性格によるもので、時間の経過は解決にならない。これこそが本当の意味でのSBSである。このタイプの問題を起こすビルの特徴は、以下の通りとされている(Sterling 1983)。

一部再循環空気を利用する全館空調システムを採用していること。建物によっては、外気導入口の位置が不適切であったり、全熱交換器で汚染質の漏れがあったりする。

比較的軽量構造の建物が多い。

室内は、テクスタイルや、カーペット仕上げとなっている。室の容積の割に、表面積が広い。

省エネルギー対策のために換気量を少なくしたビルである。

気密性の高いビルである。
これらの特徴から予想される病気の原因は、オイルショックにより引き起こされた建築物における省エネルギー対策の結果生じた極端に低減化された換気量や漏気量といわゆる新建材と呼ばれる木質系の合板や集成材などから放散される各種化学物質の高い発生量の二つが考えられる。しかしながら、単一の汚染質が、単一の症状の原因となると言った簡単な図式ではなく、複数の汚染質が、いくつかのその他の物理的、心理的要因と結び付いて様々な症状を起こさせていることだけは確かで、その因果関係が疫学的に立証するのは困難な場合が多いが、アメリカで行われた調査では、コピー機や建材から発生した炭化水素などの汚染質が、蛍光灯の光と光化学反応を起こし、オキシダントとなり、眼の痛みの原因となっていたことが明かとなった例もある