ポケットベル、消防署や警察など、緊急を要するサービスに使われるその他のコミュニケーション用アンテナは、携帯電話の基地局と似た電力レベルで稼動し、その周波数もだいたい似ています。
テレビやラジオの放送アンテナは、都心部の多くでは、携帯電話の基地局より高いRFレベルを発しているのが普通です。
健康への影響
RF電磁界は、曝露された部分(組織)を貫通し、その深さは周波数によって変わります(例えば携帯電話の周波数域だと1センチ位にまで達します)。そのRFエネルギーは体内に吸収され熱を生じますが、通常の体温調節過程でこの熱は除去されます。RF曝露による健康障害ではっきりしているものはすべて熱作用に関するものです。
発熱作用を何も生じないような低いレベルでも、RFエネルギーが生体組織に作用することがありますが、国際的なガイドライン値以下の曝露レベルで健康への悪影響を示した研究はありません。
研究のほとんどは、無線通信によって通常生ずるものよりも遙かに強いレベルのRF電磁界を短期間に体全体へ浴びせたときの結果を調べたものであり、トランシーバーや携帯電話のような機器の登場で、頭部への局所的なRF電磁界曝露による影響についてはほとんど研究されていないことが明らかになりました。
WHOは健康に関するリスク評価をより公正に行うために研究の必要性を認識し、資金調達した機関に対して研究を推進してきました。
現時点までで研究が示しているものを簡単に説明すると
がん: 現在の科学研究では、携帯電話やその基地局から発せられるようなRF電磁界への曝露ががんを誘発したり促進したりするとは考えにくいこととされいます。
携帯電話から放出されるものと近いRF電磁界にさらされた動物を使ったいくつかの実験では、RF電磁界が脳腫瘍を引き起こしたり促したりするという科学的な証拠はありません。
しかし、1997年に行われたある研究では、RF電磁界が遺伝子組換えネズミにおけるリンパ腫発症の確率を押し上げたことがわかりましたが、この結果が健康に関して何を意味するかははっきりしていません。
この発見を裏付け、これら結果と人間のがんとの関連を決定付けるための研究がいくつか続けられています。3つある最近の疫学調査では、携帯電話の使用でがんやその他の病気のリスクが増加するという納得のいく証拠は見つかりませんでした。
その他の健康リスク: 科学者たちは、脳の活動や反応時間、睡眠パターンの変化を含めた携帯電話の使用による他の影響も報告してきましたが、これらの影響は小さく、健康への明らかな重大性はありません。これらの結果を確証できるようにさらなる研究が進められています。
自動車の運転: 車の運転中に携帯電話(手に持っていてもハンズフリー製品を使っていても)を使用しているときの交通事故リスクの増加は研究によってはっきりと示されています。
• 電磁干渉: 携帯電話が医療機器(ペースメーカー、移植可能な心室細動除去器や特定の補聴器を含む)の近くで使用されたとき、干渉を起きる可能性があります。また、携帯電話と航空電子機器とにも干渉の可能性があります