東京都福祉保健局より
換気以外に化学物質を減らす方法はありませんか ?
室内空気中に含まれる化学物質への取組は、健康影響の実態を解明したり化学物質を減らす方法を考えたりと、いろいろな研究や開発が進められています。また、私たち自身だけでなく子どもの将来にも不安を残す問題でもあり、多くの人が関心を持っています。
室内で発生した化学物質を吸着したり分解して減らすための製品(化学物質低減化製品)がいろいろと売り出されています。しかし、これらの製品は、どの程度の効果があるのか、また、その効果がどのくらい続くのかなどを示す公的な規格規準がありません。なかには“アトピービジネス”のように、化学物質の怖さ強調して健康不安を煽り、製品を販売している状況も見受けられます。
化学物質の少ない生活には、設計やリフォーム時などに配慮すること(発生源対策)と、適切な換気(低減化対策)を行うことが重要です。低減化製品の利用方法としては、発生源がはっきりしている場所や、押入や家具の内部など換気が困難な場所、あるいは寝室など使用時に換気ができない(寝ているから)ときなど、換気対策を補う手段と考えるのが良いでしょう。
また、「製品を買ったから安心」と大切な換気を止めてしまうことも心配です。
室内空気中化学物質の性質は
化学物質は、温度が高いと揮発しやすく閉め切ったままだと室内濃度は高くなります。新築やリフォームした後は、化学物質を使用して間もないため、高い濃度になりやすい時期といえます。また、その日の天候や建物の維持管理状況によって室内濃度は大きく変化します。
また、化学物質は全て揮発する速度が違い室内の量も様々です。揮発性の高いトルエンやキシレンなどは、室内で使用されていても比較的短時間で放散が進みます。
一方、ホルムアルデヒドは、そのもの自体は室温では気体の状態なのですが、樹脂や接着剤の原料として使用されているととても長い時間放散を続けます。また、塩化ビニルを軟らかくするための可塑剤として使われているフタル酸エステルは、沸点がとても高いのでほとんど揮発しません。このように、同時期に使用しても放散が終わるのは一緒ではありません。
有効な換気の方法は ?
化学物質のない室内環境で生活することは困難です。でも、室内にその発生源があるわけですから、住まい方を工夫して溜まらないうちに早く追い出してしまうことで、化学物質の少ない生活を実現することができます。
そのためには、室内空気の“性格”をよく知って効果的効率的な換気計画を実行することがいちばんの早道です。
空気は一方通行?
私たちは一つの玄関から出入りすることができますが、空気は入り口と出口が別々の一方通行が基本です。換気口がひとつだと換気の効果は期待できません。換気扇や換気口などで室内の空気を外に出したい時は、室内の適当な位置に外気の入り口が必要です。空気の入り口がないまま換気扇を使用すると、もちろん動きますが空回りしているだけで換気効果は期待できません。また、窓を少し開ける「すき間換気」は、その近くの空気がぐるぐると入れ替わるだけで、ほとんど効果はありません。