wikipediaより
ナフタレン
安全性
ナフタレンにさらされると、赤血球が障害を受け破壊される。赤血球の再生は可能だが、子供が誤ってナフタレンを含んだ防虫剤や防臭剤を口に入れた場合に問題になりやすい。極端な疲労感、食欲不振、不眠、チアノーゼといった症状が現れる。大量のナフタレンに暴露されると、吐き気、嘔吐、下痢、血尿、黄疸を引き起こす。万一、誤食があった場合は、病院に行くこと。よく有毒物質を飲んだとき牛乳を飲ませる応急処置をするが、ナフタレンの場合は牛乳を飲ませてはいけない。ナフタレンは脂溶性のため体内に吸収され易くなってしまい危険である。
アメリカ合衆国では、国家毒性プログラム (NTP) がラットとマウスを用いたナフタレンの毒性試験を実施、1992年と2000年に結果が公表された。試験期間は2年間。最大濃度30ppm(純度99%以上)のナフタレン蒸気に1週間に5日、1日6時間暴露したところ、オスのマウスに対して10ppm未満では発がん性を示す証拠は得られなかった。性別とは無関係に10ppmと30ppmでマウスに肺胞腺腫と気管支腺腫の増加が見られた。ラットでは性別とは無関係に呼吸器の腺腫と 嗅神経の上皮性神経芽細胞腫の発生率が増加した。いずれのケースにおいても、がんに起因しない呼吸器の炎症が高頻度かつ広範囲の濃度で見られた[2]。
国際癌研究機構 (IARC) は、2002年にナフタレンをヒトに対する発癌性の疑いがある物質(Group2B)として位置づけた[3]。
同機構ではナフタレンに対する急性暴露は、ヒト、ラット、ウサギ、マウスにおいて白内障の原因となること、成体以外では経口暴露、吸入暴露、胎児期の間接暴露により、溶血性貧血が起こることを指摘している。
可燃性物質であり、日本では消防法により危険物第2類(可燃性固体)に指定されている。